中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

若者がタクシーに乗るのは贅沢なのか? 50代男性が抱く複雑な劣等感

「お客さん、お客さんは実際のところ、ウチのセガレよりも年下だと思いますよ。それがこうしてタクシーに乗れる身分ってのが正直羨ましいですよ。私なんて、普段タクシー乗ることないですからね。いや、お客さんにそんなことを言ってしまい申し訳ありませんが……」

 急いでいたので「たまには贅沢するか!」とばかりに乗っただけの話なのですが、運転手はキチンとした制服を着用している中、こちらは短パン・Tシャツというあまりにも適当過ぎる格好でした。それも年長者からすると、複雑な気持ちになったということでしょう。

 東京23区の場合、初乗り料金が410円になり、決して贅沢品とは言えなくなったかもしれないですが、410円あれば安いランチを食べることもできる額です。タクシーに乗る若者にしても、そこまで贅沢を普段しているわけではなく、たまたま乗っただけなのかもしれないのですが、年長者からすれば「贅沢をしやがって」「このセレブのフリ野郎」といった妙な被害妄想を抱いてしまうこともあるのだといいます。

 だからといってどうすればいいんだよ! と言いたくなる話ではありますが、基本的に「他人のカネ」というものは嫉妬するか見下す対象になるもの。些細なタクシー乗車であろうとも、人間界においては、マウンティングのどうでもいい題材となっているのです。

 こういった話を聞くにつれ、この社会は「カネを使ってラクをする奴は許さん」的空気があるのだなぁ、と思う次第です。

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