田代尚機のチャイナ・リサーチ

日本株暴落、ドル安円高も弱気材料に 一方で人民元対円レートは上昇中

 中国人民銀行が発表した最新のデータによれば2017年12月末における外貨準備高は前月末と比べて207億ドル増加、3兆1399億ドルとなり、11か月連続で前月を上回った。外貨取引規制の強化、金融市場での対外開放の加速、世界経済の回復などが要因となり、外貨は流出から、流入へと流れが変わっている。

 アメリカでは対中貿易において大幅な貿易赤字が発生しているが、トランプ大統領はこうした状況を受け入れられないといった発言を繰り返しており、アメリカの保護主義政策が進むといった懸念が高まっている。そうしたことも影響して人民元高ドル安が進んだ。そのため、円との関係でも、人民元高円安が進んだといった面もある。

 日中貿易の実態としてドル決済が依然として多い点を考えると、人民元対ドルレートの動きをより重視した方が良いかもしれないが、それを見ると人民元が更に強い。財務省が発表した2017年12月の貿易統計(速報、円ベース)をみると、アメリカを抜いて中国が3か月連続で日本の輸出先トップとなっている。

 現在の相場環境では輸出関連は買い難いと感じるかもしれないが、ファンダメンタルズの面からみると、中国向けに輸出の多い銘柄には注目できるかもしれない。村田製作所(6981)のような電子部品関連でもよいが、iPhone Xの販売不振問題があるので、そうした影響が小さい島精機製作所(6222)あたりに注目してもよいだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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