田代尚機のチャイナ・リサーチ

仮想通貨に中国リスク高まる 中国金融当局は海外取引にも規制の動き

 さらに、「仮想通貨は流通通貨ではなく、現段階ではいかなる国家も法定通貨とは認めていない。わが国においては、仮想通貨プラットフォームは非合法である。ビットコインは政府のコントロールを受けず、匿名取引で、取引の追求が難しいといった特性があり、近年、悪意の取引、非合法に暴利をむさぼる案件がみられ、ハッカーによる攻撃事件が頻繁に発生しており、非合法な資金調達活動が行われている。当局が監督管理を強化することは、効率的で安全性の高い金融システム、メカニズムの構築、金融リスクの防止に有利である」などと説明している。

 ビットコインをはじめ、各種仮想通貨において、過去に多くの中国人がマイニング(*注)を行っており、現時点においても所有者の大きな比率を中国人が占めるとみられる。本国において如何なる取引も違法行為とみなされ、海外を含め監督管理が強化されるのであれば、彼らはこの市場から撤退、資金化を急ぐ可能性がある。投げ売りが出かねない。今後の仮想通貨の見通しを考える上で、これは大きなネガティブ材料となるだろう。

【*マイニング:仮想通貨の取引台帳データの整合性と追記を行う作業のことで、その膨大な計算能力を有志から集い、報酬として新しく発行された通貨が支払われる。金や銀を掘る作業のイメージになぞらえてマイニング(採掘)と呼ばれる】

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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