不動産の所有期間が10年以上ならば、通常の譲渡所得税より軽減された税率が適用される。これは前述した「3000万円の特別控除の特例」と併用できる。
「ただしこの特別控除は、引っ越しから3年以内に実家を売却しないと適用されません」(同前)
実家を処分する際、不動産会社とのやり取りなどを年老いた親の代わりに子供が行なったほうがスムーズなことは多いが、注意すべきポイントもある。
「契約書にハンコを押すなどの法律行為を子供が代行すれば、家族といえども弁護士法に抵触する可能性があります」(まこと法律事務所の北村真一弁護士)
親が実家に住み続ける場合も、両親のどちらかが「要介護認定」を受けた場合には、「リフォーム」について様々な優遇制度があることを知っておきたい。
介護保険を申請すれば、浴室やトイレへの手すり取りつけなど、20万円までのリフォーム費用が1割負担で済む。
「リフォームを行なった際に税金が還付される制度のほか、自治体によっては独自のバリアフリーへの補助金制度もあります」(介護アドバイザーの横井孝治氏)
親の所有名義となっている実家は、売却、リフォームのどちらを選ぶにせよ、親が納得しなければ話が進まない。数多くある優遇制度の存在を親にも伝えた上で、どう効果的に利用するかを一緒に考えたい。
※週刊ポスト2019年3月1日号