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「子供部屋おじさん」問題 社会人が実家で暮らすそれぞれの理由

実家暮らし20代男性「コストをかけないに越したことはない」

 Aさんと同じ20代の会社員で、実家暮らしの男性・Bさん(27歳)に話を聞いた。IT企業に勤めるBさんは、都内近郊にある実家から片道1時間をかけて、都内にある職場に通っている。職場から近い一等地に住む同僚も多いが、入社以来かたくなに実家暮らしを続けている。その理由は、「コスト」「安心感」「趣味」にあるという。

「家賃、水道代、光熱費、食費、インターネット代などで月10万円以上も出費することが、バカらしくて。一応生活費として両親に3万円支払っていますが、今後年収が大幅に増えるような気もしないし、実家に住まわしてもらえることに感謝しています。親と喧嘩することも多いですが、何よりいつでもご飯とお風呂がある安心感は大きい。また、実家なら、車も使えるので便利です。一人暮らしで車を買っても、多分そんなに乗らないことを考えれば、実家の車を使ったほうが断然無駄がない。

 でも、別に洗濯は自分でするし、自分のご飯を自分で作ることもあります。いざとなれば一人暮らしをする能力はあるんじゃないかな」(Bさん)

 家賃や光熱費がかからない生活だが、貯蓄は出来ているのだろうか。

「貯蓄はほとんどないですね。年に3回行く海外旅行が趣味なので、給料やボーナスは、そういった旅行代に消えてなくなってしまいます。実家暮らしだから“甘えている”と同世代の友人にイジられることもありますが、『僕の方が自分の人生をよっぽど楽しんでいる』と思っています」(Bさん)

実家暮らし30代男性「あと何回親に会えるのかと考えた」

 20代男女の価値観は「自立」をとるか、「コスパ」をとるかといったところなのかもしれないが、世代が上になると若干事情が変わってくる。

 大手メーカー勤務の男性・Cさん(38歳)は、すでに役職がつき、年収は1000万円超。会社では将来が期待されている。貯蓄額も多いが、未だに実家での独身生活を貫いている。“子供部屋おじさん”という表現については、「図星な分、心をえぐる」と笑う。自身の部屋にもまだ、小学生時代から使い続けている現役の学習机がある。職場近くで一人暮らしをしていた時期もあるが、とあるきっかけで実家に舞い戻った。

「一人暮らしには制約のない自由があり、快適だったのですが……。実家に戻った大きな理由は、父親の病気。幸い大事には至らなかったのですが、ふと『生きている間に、あと何回親に会えるのだろうか』と考えてしまったんです。貯蓄もできるようになったし、何より家族との距離も近づいたので、今でも自分の決断は間違っていなかったと信じています」(Cさん)

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