住まい・不動産

120年ぶり「民法改正」 賃貸物件の修繕、原状回復義務はどう変わったか

民法改正で賃貸にかんする法律はどう変化したか(イメージ)

民法改正で賃貸にかんする法律はどう変化したか(イメージ)

 2017年5月に民法改正法案が成立し、2020年4月1日より施行される。120年ぶりの民法改正で私たちが注意を払うべき点は何なのか。弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 民法が120年ぶりに大改正。来年をめどに、徐々に施行されるそうです。ただ、テレビや新聞などで120年ぶりと大騒ぎされても、具体的に何がどう改正されるのかよくわかりません。そこで竹下先生が最も注目している改正のポイント、これからの私たちが留意すべきことは何なのかを教えてください。

【回答】
 民法改正には、一昨年に改正法が成立、来年4月1日から施行される契約などの債権法を中心とした分野の改正と、昨年成立して一部は施行され、残りの大半が今年7月1日に施行された相続法分野の改正などがありますが、まずは債権法の改正について紹介します。 債権法改正は、契約関係を中心に社会・経済の変化に対応し、実際に通用しているルールを取り込み、かつ世間一般にも理解しやすくしたもの、といわれています。

 ここでは日常生活に直接関係しそうな改正の例として賃貸借について説明します。借家に住んでいて、家主が修繕をしない場合、従来から借家人も修繕できると解釈されていましたが、改正法607条の2では、一定の場合に修繕する権限があることが明記されました。

 また、借家明け渡し時に借家人は原状回復義務がありますが、賃貸借期間中の壁クロスの日焼けなど、経年劣化や自然損耗について借主に修繕義務がないことは判例で確認されていましたが、改正法621条で明文化されました。

 さらに賃借人の保証をすると更新後も継続するため、保証を忘れたころに、長年滞納した高額の家賃の請求を受けることがあり、裁判所は貸主側の怠慢を理由に権利乱用や信義則違反として、責任範囲を限定することで保証人を救っていました。

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