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【日本株週間見通し】日経平均高止まり 上値追いの材料乏しい

 11日の米国市場は長期金利の上昇で金融各社が上昇するなかNYダウは227.88ドル高と続伸し終値ベースで史上初の27000ドル台に乗せた。ただ、ナスダック指数は3日ぶりに反落している。この流れを受けた12日の日経平均は、買い一巡後に三連休を控えた利益確定売りなどからマイナス転換する場面もあったが、前日に第3四半期決算を発表したファーストリテイリング<9983>が売買代金トップで3%上昇し、日経平均を押し上げ、後場は小動きながらプラスゾーンで推移した。

 今週の日経平均は堅調さを取り戻しながらも、引き続き上値が重い展開となりそうだ。注目されたパウエルFRB議長の議会証言では、貿易摩擦の影響や世界景気減速への懸念から緩和的な政策の必要性が表明された。今月末のFOMCでの利下げが確実視されるなか、これを織り込む流れが米国市場では継続され、東京市場の下支え要因として働いてくる。また、ETFの決算に伴う分配金捻出のための売り圧力がピークを通過したことで、需給的な悪材料は見当たらない。

 日経平均をテクニカル的に見ても、週前半に頭抑えとして働いていた5日移動平均線を200日移動平均線とともに11日に回復して、再び反転態勢となっている。このまま5日および200日移動平均線がサポートしてくれば、22000円を意識した展開になってこよう。しかし、1ドル=109円台への円安期待以外に、上値を買い上がる材料に乏しいことも事実だ。

 むしろ、今後本格化してくる企業決算発表が上値を抑える懸念材料として働いてくる可能性がある。12日の東京市場では、事前の想定線ながら堅調な決算を通過したファーストリテイリングは4日続伸し、6月の年初来高値を更新した。対象的に通期予想は据え置いたものの、第1四半期(3-5月)営業利益が前年同期比58%減益となった安川電機<6506>が一段安となり、設備投資・中国関連の銘柄群には警戒感が台頭している。

 国内の決算発表は24日の日本電産<6594>、信越化学工業<4063>、アドバンテスト<6857>、キヤノン<7751>を皮切りにして、翌週から本格化する。来週は模様眺めムードが先行する可能性がある。

 一方、先行して米国では今週から決算発表が本格化し、16日にJPモルガン、ゴールドマン・サックス、17日にネットフリックス、アルコア、18日にマイクロソフトと金融、情報通信、非鉄の決算発表が始まる。なお、翌週は23日にテキサス・インストゥルメンツ、24日ボーイング、キャタピラー、ドイツ銀行、25日アマゾン、アルファベット、インテルと半導体、大手ハイテク、中国関連の決算がヤマ場を迎える。

 このほか、フランス議会上院が11日、米グーグルなどIT大手を対象にしたデジタル課税法案を可決し、米国トランプ政権が反発している。新たな貿易摩擦に発展していく懸念が生じるとネガティブ要因となる可能性を秘めている。21日の参議院選挙投開票については、現状では中立要因として見られている。なお、16日からは株式等の決済期間短縮化(T+2化)が実施される。16日の取引は18日が受渡日(従来なら19日)となる。

 来週の主な国内経済関連スケジュールは、15日は海の日で東京市場は休場、16日は株式等の受渡日が1営業日早まり現行の3営業日後の決済が2営業日後に、17日に6月訪日外客数、18日に6月貿易統計、6月首都圏新規マンション発売、19日に6月消費者物価、5月全産業活動指数がそれぞれ発表、予定されている。

 一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールは、15日に中国6月都市部固定資産投
資、中国6月鉱工業生産・小売売上高、中国4-6月期GDP、米7月NY連銀製造業景気指数、16日に米6月の輸出入物価・小売売上高・鉱工業生産・設備稼働率、米7月NAHB住宅市場指数、米5月企業在庫、17日に米6月住宅着工件数、米6月建設許可件数、ベージュブック、18日に米7月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米6月CB景気先行総合指数、19日に米7月ミシガン大学消費者マインド指数が発表の予定にある。

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