1990年代後半、「学級崩壊」が大きな社会問題として取り上げられたが、それから20年余り経った今、子供ではなく教師や保護者が原因の「学校崩壊」が起きている。
神戸市の小学校で起きた「教員間いじめ」が大きな話題となっているが、職員室同様、外からは実態が見えない「ブラックボックス」がPTAだ。入会や役員選定などを巡り、トラブルが頻発する組織の実態とは──。
毎年、この季節になると翌年4月からのPTA次期役員候補へのアプローチが始まる。PTA経験者が語る。
「この時期に暗躍するのは“PTAハンター”と呼ばれる選考委員です。役員やママ友の情報網を駆使し、学校行事に頻繁に顔を出す父親などに狙いを定めて電話攻勢をします。埒が明かなければ、“標的”が首を縦に振るまで何度も自宅を訪問するため、『目をつけられたら最後』と恐れられています」
PTAとは〈Parent-Teacher Association〉の略で、児童生徒のために保護者と教職員で組織する任意加入団体を指す。終戦後にGHQの指導により全国の学校に設置された。
長らく「全員入会」が当たり前とされたが、近年はなり手不足が目立つ。そのため、入学式直後に保護者を体育館に“軟禁”し、誰かが引き受けるまで帰さないPTAもある。深刻なのはトップである会長職の人材難だ。
「昔は地域の有力者が競って手を挙げた名誉職ですが、いまはなり手がいません。最近は、同居する祖父母を保護者とみなし、PTA会長に推薦する動きもみられます」(前出・PTA経験者)
2017年放送のドラマ『PTAグランパ!』(NHK BSプレミアム)では松平健(65)演じる「おじいちゃんPTA副会長」の奮闘が描かれたが、現実世界でも同様の事態が生じつつある。