大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

ヤフーとLINEの経営統合、「そこにシナジーはない」と大前研一氏

ヤフーとLINEの経営統合でどうなる?(イラスト/井川泰年)

ヤフーとLINEの経営統合でどうなる?(イラスト/井川泰年)

 ヤフーとLINEの経営が統合されるというニュースは、ふだん経済ニュースにそれほど関心がない人たちの間でも大きな注目を集めた。はたしてこの統合によって、何が起こるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。

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 インターネット検索などのポータルサイト「ヤフー」を展開するZホールディングス(ZHD)とコミュニケーションアプリを提供するLINEが経営統合することになった。

 両社が発表した統合計画案によると、ZHDの親会社のソフトバンクとLINEの親会社の韓国・ネイバーが50%ずつ出資して新会社を設立し、その会社がソフトバンクに代わってZHDの筆頭株主になる。ZHDの下に完全子会社として事業会社のヤフーとLINEがぶら下がり、ZHDが上場を維持してLINEは上場を廃止。存続会社のZHDの共同CEO(最高経営責任者)にはZHDの川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長が就任して2人とも代表権を持ち、川邊氏はZHD社長も兼任する。公正取引委員会の審査を経た上で、2020年10月をめどに統合を完了するという。

 ヤフーの平均月間利用者数は6743万人、LINEの国内月間アクティブユーザー数は8200万人だ。かなりのユーザーは重複していると思われるが、単純合計で延べ約1億5000万人が使用するサービスが誕生することになる。

 マスコミは「1億人経済圏」「国内最大の巨大プラットフォームが誕生する」などと囃し立てたが、「プラットフォーム」という言葉を2000年に上梓した『THE INVISIBLE CONTINENT』(邦訳版は『新・資本論』東洋経済新報社/2001年)で世界で最初に経営に持ち込んだ私に言わせれば、ヤフーとLINEが経営統合しても、(日本国内とアジアの一部以外では)プラットフォームと呼べるほどの力は持ち得ないと思う。

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