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私道封鎖問題 専門家が提案する「時間がかかる」解決策

生活道路として利用されていた私道が封鎖。よい解決策は?(イメージ)

生活道路として利用されていた私道が封鎖。よい解決策は?(イメージ)

 公道は誰もが通って良い道だが、我々が通っている道路の中には、土地所有者が開放しているから使える私道も存在する。近隣住民が生活道路として使用していた私道が突如封鎖された場合、解決の糸口はあるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【質問】
 気になる長崎市の私道封鎖問題。50年も生活道路として地域住民が通っていた私道。その道を管理している不動産会社が維持費のために通行料を設定したのです。当然、住民は反発。長崎市も私道を買い上げようとしましたが、金額が折り合わず放置状態。この状況をよりよく解決できる方法はありませんか。

【回答】
 50年間、付近の住人が通行できた土地が売買され、買主から管理を委託された不動産会社が通行料を要求したと仮定します。

 土地所有者は、法令の範囲で土地を自由に使用できますが、無償通行を約束すれば、約束を守る義務があります。ただ、約束する相手が必要で、不特定の通行の黙認だけでは約束になりませんし、以前の地主が奥の住人の無償通行を約束しても買主には通用しません。

 しかし、奥の土地の利用に供するため、当該通路の利用を認める通行地役権が合意されると登記をすることで、買主にも対抗できます。登記がなくても、通行利用を承知で買い受けた新所有者に対して主張できる場合もあります。

 例えば、宅地分譲時に残った土地が分譲地購入者の事実上の通路になり、元の地主と購入者との間で黙示の通行地役権設定合意があったと解され、買主が通路状態を認識していれば、その登記がなくても、奥の住人の通行を妨害できないとされた事例もあります。

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