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コロナ大暴落で年金積立18兆円消失 その最中の年金改正法案への怒り

 現在は参院厚生労働委員会で審議中だが、ここでも与野党議員の質問は「アベノマスク」や「給付金」などコロナ対策に集中し、年金法案の掘り下げた議論は全く行なわれていない。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏は怒りを隠さない。

「今回の制度改正は年金のあり方を大転換する内容です。しかも、株価暴落で将来の年金給付のベースとなる積立金が毀損しているのだから、制度改正の前提が狂ってしまった。

 いま国会で議論しなければならないのは、急いで運用方針を再見直ししてこれ以上の年金損失を防ぎ、将来の年金見通しを修正して国民に説明することでしょう。それなのに、コロナのドサクサでまともに議論されないまま場当たり的に制度改正だけ行なわれようとしている」

 コロナ対策を議論するのであれば特別委員会を設置するか、予算委員会でやればいい。年金法案という国民生活を左右する重要法案の審議を、コロナ対応と同じ委員会で審議していることこそ、厚労省がコロナ感染拡大と同時進行する年金危機から国民と政治家の目をそむけさせたいからに他ならない。

【プロフィール】北村庄吾(きたむら・しょうご)/1961年生まれ、熊本県出身。中央大学卒業。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー。ブレイン社会保険労務士法人 代表社員。コロナ倒産を防ぎ、社員の雇用を守るための『「雇用調整助成金」完全申請マニュアル』が発売中(http://koyoujoseikin.jp/)。

※週刊ポスト2020年6月5日号

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