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コロナ禍で様変わりした家計支出 不況下で売れる「もやし」も大幅増

もやしが売れる時の景気はあまりよくない?

 緊急事態宣言やテレワーク、休校など、新型コロナウイルス感染拡大により生活が様変わりしたことで、家庭でのお金の使い方も一変している。6月5日に発表された4月分の家計調査で、その詳細が明らかになった。

 2人以上世帯で、前年同月比での消費支出が大きく増えているのは食料だ。中でもパスタは70.5%増、即席麺が43.3%増、生鮮肉は20.7%増と大きな伸びを示した。肉は自炊の増加、麺類は平日も家にいる子どものランチ需要が大きいのかもしれない。

 家飲みをする機会が増えたせいか、チューハイ・カクテルも42.1%と伸びが大きくなっている。興味深いのは電子レンジが30%増えていることだ。普段は家で食事をしない人も電子レンジを購入したり買い替えるなどして自炊にチャレンジしているのかもしれない。実際、外食を示す食事代は63.3%減、飲酒代も90.3%減と、大幅に減少している。

 より詳細な食材の購入金額では、もやしに注目したい。身近なデータと景気の関係に詳しい三井住友DSアセットマネジメントのチーフエコノミスト・宅森昭吉氏は、「消費者の節約意識が高まったり、野菜が高騰すると、安価で栄養豊富なもやしの消費量が伸びる傾向にある」と指摘する。

 2020年のもやし購入金額は、コロナ前の1月と2月は76円だったのに対し、3月は99円に増加、4月はさらに106円まで増えた。この水準は、前年の長雨と台風の影響で野菜価格が高騰した2018年2月以来で、コロナ禍で増える食費を少しでも節約しようと工夫する消費者の姿がうかがえる。

 外出自粛の影響は、交通費支出にも顕著に表れた。鉄道運賃は89.9%減、航空運賃は94.5%減、パック旅行費は97.1%減、遊園地入場・乗物代は97.8%減と、外出関連の需要がほぼ「蒸発」したことを示している。家にいると身なりを整える必要がなくなるせいか、背広服は79.9%減、マスクの下に隠れる口紅は41.1%減となった。

 一方で、「巣ごもり」で支出額が大きく増えたものもある。ゲーム機は68.2%増、ゲームソフトにいたっては102.8%と倍以上に増えている。テレワーク用に新調する人が増えたのか、パソコンも72.3%増となった。

 家計の消費支出全体でみると、実質11.1%の減少となっており、増えた支出と減った支出を相殺すると支出減となった家庭が平均的であるようだ。

文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)

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