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アメリカが実施する「超金融緩和」がはらむ大きなリスク

FRBのジェローム・パウエル議長(Getty Images)

 NYダウが乱高下している。6月26日のNYダウは730ドル(2.8%)安。3月に底打ち反転した後の高値(終値ベース)は6月8日に記録した27572.44ドルだが、その後の安値を切ってきた。一方、週明け後の29日には大きく反発、580ドル(2.3%)高で25595.80ドルで引けた。

 前週末に急落したのは、新型コロナウイルス感染者数の増加が背景にあるだろう。WHO(世界保健機関)の統計によれば、6月28日現在の累積感染者数は245万2048人、新規感染者数は4万4458人に及ぶ。アメリカの新規感染者数はブラジルと並んで、突出して多くなっている。

 アメリカは5月に入り経済活動を重視する政策に舵を切ったが、足元では第二波の到来で、この先再びロックアップが必要な都市が出てくるかもしれず、そうなれば景気見通しはさらに下方修正を迫られることになる。株式市場はこの点を警戒している。

 今後の見通しが気になるところだが、FRB(連邦準備制度理事会)は社債にまで資産購入の範囲を広げており、過去に例がないほど強力な量的緩和政策を実施している。緩和政策が徹底して行われている以上、経済システムの中で最も脆弱な金融市場は安定が保たれるであろう。

 29日のNYダウは大きく戻しているが、景気に関する指標の発表があり、それがポジティブサプライズであったと市場関係者たちはみているようだ。そうしたちょっとした好材料にも大きく反応するのは資金流動性が高いからである。超金融緩和が続く以上、NYダウは下落したとしても、二番底を打たずに戻す可能性が高いと予想されている。

 ただ、長期的にみた場合、こうした前例のない大胆な金融緩和政策は大きな副作用を生み出しはしないだろうか。

 中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席は6月18日、上海で開催された第12回陸家嘴フォーラムにおいて、アメリカの金融行政を批判するような内容の講演を行っている。その要点をまとめると、以下の5点である。

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