田代尚機のチャイナ・リサーチ

コロナ禍でも株価沸騰 アップルとテスラに死角はあるか

アップルにとって中国は重要な販売先のひとつ(EPA=時事)

 アメリカのハイテク株が好調だ。NASDAQ総合指数は8月24日、0.6%上昇し、3日連続で過去最高値を更新した。全体相場が強い中でも、アップルの急騰が目を引く。7月24日の場中安値は356.58ドル。8月24日の終値は503.43ドルなので、わずか1か月で41%も上昇している。しかも、アップルは世界最大の時価総額を誇る超大型株である。巨額の資金が流入しているということだ。

 テスラは更に凄い。直近の安値は8月11日に場中で記録した1365ドル。24日は少し下げているが、21日の段階では終値は2049.98ドルで、わずか8営業日で50%上昇した。年初来安値は3月18日の場中で記録した350.51ドルなので、この間、株価は5.8倍になっている。こちらも時価総額で日本最大のトヨタを凌駕している。

 この2社には共通する特徴がある。いずれも、中国がビジネスに深く関与しているという点である。

 アップルの生産システムについて今更説明するまでもないが、ほとんどのアップル製品が台湾企業である鴻海鴻海精密工業などを通じて、中国で生産されている。関連部品メーカーについても、韓国、日本などと共に中国メーカーが重要なポジションを占めている。

 直近の業績を確認しておくと、2020年4-6月の業績は11%増収、12%増益。新型コロナの感染拡大でアメリカ経済が大きなダメージを受けた中で、非常に良い結果であった。部門別売上構成を示すと、アメリカが45%、EUが24%、グレーターチャイナ(中国本土、香港、マカオ、台湾の“大中国経済圏”)は16%。以下日本が8%、その他のアジアが7%となっており、中国は重要な販売先の一つである。

 テスラに関しては、外国自動車メーカーが完全保有する中国初の工場「上海ギガファクトリー」の完成が起死回生の起爆剤となった。

 会社の存亡をかけて開発した量産タイプの「モデル3」は2017年7月から生産を開始している。グローバルの大手メーカーから中国の新興メーカーまでが多額の開発費をかけて新エネルギー自動車の開発を進める中で、業界での地位を守り、競争に打ち勝つためには、他社よりも少しでも早く量産車を世に出し、世界最大市場である中国でトップシェアを取ることが不可欠であった。

 そのカギとなったのが上海のギガファクトリーである。米中貿易戦争の影響を受けて認可が危ぶまれた上海ギガファクトリーだが、2019年1月7日にようやく起工式を行うことができた。それからわずか11か月で中国産のモデル3の生産、供給に漕ぎつけている。

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