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雇用保険料や健康保険料の値上げは避けられない 年5万円負担増も

会社員の社会保険料負担は膨らむ一途…(イメージ)

会社員の社会保険料負担は膨らむ一途…(イメージ)

 政府は2月2日の閣議で「世帯主の年収1200万円以上」の世帯に児童手当の支給を廃止する方針を決めた。

 しかし、菅義偉・首相は施政方針演説(1月18日)で、「未来を担う子供からお年寄りまで全ての人が安心できる社会保障」を掲げ、不妊治療の助成金について「所得制限を撤廃する」と表明したばかりだ。

 不妊治療では所得制限を廃止するのに、児童手当では所得制限を設ける。年金減額と同じく、「減らしやすいところから減らす」という大方針の前には政策の矛盾などどうでもいいのだろう。

 サラリーマンの社会保険料値上げも控える。政府はコロナ対策の休業補償として「雇用調整助成金」をこれまでに2.2兆円支給し、緊急事態宣言の延長で支給額はさらに増える。

 その原資は本来、企業が拠出する雇用保険の「雇用安定資金」でまかなわれるが、財源が尽きたために、サラリーマンが負担(労使折半)している失業給付用の積立金から約5000億円を流用している。積立金はコロナ不況による失業給付の増加と流用により1年で1.7兆円も減り、厚労省は今年3月末には2.7兆円になると試算している。このペースでは1年後には1兆円となり、その後の失業給付の支払いさえ危うくなる。

 そのためサラリーマンが支払う雇用保険料の値上げは避けられそうにない。

 どのくらいの値上げになるのか。雇用保険(失業給付分)の保険料率は現在0.6%(労使折半、以下同)だ。実は、本来の基準は1.2%だったが、失業率が低かったことから2017年の時限立法で基準が1.0%に引き下げられ、さらに「財政的に極めて余裕のある状態」では最大0.4%引き下げることができるという弾力条項も発動され、0.6%まで下げられている。

「時限立法は2021年度末で切れ、弾力条項も適用できる財政状況ではなくなった。2022年度からは雇用保険の料率を少なくとも元の基準の1.2%まで戻すことになるでしょう。弾力条項では雇用状況が悪化したときは逆に最大0.4%引き上げるとしているので、料率が1.6%(1.2%+0.4%)まで上がる可能性もあります」(雇用保険に詳しい社会保険労務士)

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