投資

【日本株週間見通し】今週の日経平均はもみ合いも底堅い展開か

 東京証券取引所が発表した9日時点の信用取引残高によると、信用買い残は約2年半ぶりの高水準にある一方、売り残は約2年4カ月ぶりの低水準になったという。また、裁定残のネット買い越しも継続している。やはり、昨年の力強い株高に寄与した「売り方の買い戻し(ショートカバー)」によるエネルギーが少ないことが全体のこう着感に繋がっているようだ。信用評価益率でも買い方がやや悪化する一方、売り方は改善傾向にある。

 日銀の強烈な上場投資信託(ETF)買いなどにより、昨年は売り方にとって散々な年であったが、指数がすでに高値圏にあるなかで仮需による押し上げもなくなり、上値を買い上がる材料も決算を確認するまでは見当たらない現状は、1年ぶりに売り方が活躍しやすい状況のようだ。

 さて、小売決算が一巡し、再今週から製造業の3月期決算が本格化してくるなか、今週は端境期となる。ただ、米国ではネットフリックスやインテルなどのグロース株・ハイテク株の決算が予定されているほか、国内でも20日にマザーズ時価総額上位のマクアケ<4479>、週後半には日本電産<6594>、エムスリー<2413>などのグロース株代表格の決算が控えている。長い間「グロースかバリューか」という二極化の相場展開だったが、新年度入りに伴い足元では実力相場へと転換してきている。

 先日の安川電機の決算は上述したように悪い内容ではなかったが、物足りないとの評価から急落し、その後も開けた窓を埋められなかった。一方、マザーズ時価総額上位のマネーフォワード<3994>の決算はストレートに好感され、窓開け急伸後も週末まで騰勢が続いた。

 景気回復期待を先んじて織り込む形で上昇基調を描いてきた製造業などの決算ハードルは相当に高く、市場予想を大幅に上回る内容でない限り出尽くし感が先行しやすいことが読み取れる。反対に、長く調整を経てきた内需系グロース株、とりわけマザーズのような情報通信セクターの中小型株については、好決算が素直に好感されるケースが多いようだ。

 このように「バリュー・グロース」という単純な二極化が終わり、実力相場へと移行してきているなかで迎える日本電産とエムスリーの決算はともに関連銘柄への影響力も大きいため注目したい。ショートカバーによる後押し材料がなく全体がこう着感を強めるなか、選別物色がより重要な局面になってきたといえよう。

 先週末は、米3月小売売上高が10カ月ぶりの大幅な伸びを記録したほか、米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が1973年4月以来48年ぶりの高さを記録した。また、週次新規失業保険申請件数が予想以上に減少するなど米国で景気回復を裏付けるデータが相次いだ。そうした中でも米10年物国債利回りは1.5%台へと低下するなど金利の落ち着きが鮮明となった。外部環境が改善し、実力相場に移行しつつあるなかでグロース株の見直し機運も高まっている。

 こうした中、新興市場ではマネーフォワードに続けるかという点でマクアケの決算が、東証1部ではエムスリーの決算が注目される。これらがポジティブな結果となれば、市場全体を明るくさせることはもとより、より出遅れ感のあるマザーズなどの新興株、中小型グロース株の持ち直しが鮮明となりそうだ。

 今週は19日に3月貿易収支、22日に欧ECB定例理事会、米3月中古住宅販売、23日に3月全国消費者物価指数、米3月新築住宅販売などが予定されている。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。