田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国政府が主導する少子高齢化対策の恩恵を受ける日本株

中国政府が主導する少子高齢化対策とは(写真:アフロ)

中国政府が主導する少子高齢化対策とは(写真:アフロ)

 世界銀行の統計によれば、2019年における65歳以上の人口比率(対全人口比)が最も高い国は日本で28.0%。第2位はイタリアで23.0%、第3位はポルトガルで22.4%。その他の主要国ではドイツは21.6%で第6位、フランスは20.4%で第10位、アメリカは16.2%で第38位、韓国は15.1%で第48位である。

 こうした国々と比べると、中国の比率は11.5%で第64位。どちらかというと老齢化は進んでいない国に分類されるだろう。

 若い人たちの比率はどうなっているだろうか。同じく世界銀行の統計だが、2019年における15歳未満の人口比率をみると、アメリカは18.6%で第137位。中国は17.8%で第142位。フランス、イギリスは中国よりも少し低い。そのほかドイツは13.8%で第186位、韓国は12.8%で第191位。日本はその下の第192位で12.6%。日本より低いのは、シンガポール、香港だけといった状況だ。

 中国国家統計局は11日、第7回全国人口センサス(国勢調査、基準日は2020年11月1日)の結果を発表した。その内容を簡単にまとめると以下の通りだ。

【1】2020年、中国の総人口は14億1000万人で、世界全体の約18%を占め世界第1位。過去10年で7206万人増加した。
【2】16~59歳の労働年齢人口の平均的な教育期間は2010年の9.67年から2020年には10.75年に上昇、労働力の質は向上した。
【3】性別構成をみると、2020年の出生人口性別比は111.3(女性100に対する男性の比率)であり、2010年と比べると6.8ポイント低下した。
【4】労働年齢人口比率が大幅に低下した。年齢別構成比は、0~14歳が17.95%(+1.35ポイント)、15~59歳が63.35%(▲6.79ポイント)、60歳以上が18.70%(+5.44ポイント)であった。カッコ内数字は10年前との変化ポイントを示す。
【5】2020年における流動人口(居住地が本籍地の地区ではない人口)は3億7600万人となり、この10年で70%近く増えた。人口は長江デルタ、珠江デルタ、成都・重慶など、沿海、大河沿い、内陸発展地域の主要都市に集中しており、こうした都市の人口増加率は高い。

 この統計の発表を受けて日本のマスコミの多くは、少子高齢化について悲観的に報じているが、国際比較データを見る限りでは過剰反応のようにも映る。

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