キャリア

密かに進む“テレワーク離れ” 背景に「出社した人が偉い」企業風土も

テレワークはサボれるどころか、シビア

 Aさんと同様、「出社した方が効率的に仕事ができる」という社内の空気を感じている、というのは、メーカーで働く20代女性・Bさんだ。

「確かに家だと設備が整っていなかったり、間取りや家庭の事情などから仕事がしにくい人もいるでしょう。でも、家で効率的にできる人もいるわけです。私は移動時間や余計な会議が減ったことで、本当に快適に仕事ができていました。それなのに効率性を盾に出社を求める人が多かったため、その圧力に負けて段階的に出社日数を増やす羽目になりました……」(Bさん)

 Bさんは、全社員がテレワークを経験したことで、これまでの「会社に長くいた人が偉い」という慣習が少しは変わるのではないかと期待していたが、何一つ変わらなかったそうだ。結局は、旧態依然の「残業する人が偉い」という価値観のままだという。

「出社すると、おじさんたちが生き生きして、無駄話に花を咲かせています。会社にいる時間ではなく、もう少し成果で評価されるようになってほしいです」(Bさん)

 IT企業で働く30代男性・Cさんは、昨年の夏から1年間弱、完全テレワークを続け、最近、出勤にも切り替えられるようになった。テレワークのメリットとデメリットを十分に知った今、どう感じているのか。

「『テレワークはサボれるから怠慢だ』みたいなことを言う人がいますけど、大きな誤解です。実際は出社のほうが、行くだけで最低限の評価は得られるじゃないですか。デスクに向かってさえいればいいわけですから、適当に流せるシーンも多い。そういう意味で出社の方が楽ですよ。テレワークはサボれるどころか、成果でしか仕事ぶりを表せないので、シビアだと思っていますけどね」(Cさん)

 再び感染が拡大している中、感染対策の流れと逆行するかのように“テレワーク離れ”が進んでいる。その背景には、「自粛疲れ」や「緊急事態宣言慣れ」などの要素の他に、旧態依然とした日本企業の社内風土にも原因があるのかもしれない。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。