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平等が招く日本社会の不平等 消費税が格差拡大につながるカラクリ

 非正規雇用社員は、企業とっては言わば緩衝材的な役割を果たす人材です。使いたい時だけ使い、不要になったら簡単に辞めさせることが出来る彼らの存在は、不要な人件費で経営を圧迫されるリスクを回避したい企業にとってメリットは大きい。しかし、働く側にとってはいつクビを切られるか分からないという不安を抱えながら働くこととなるうえ、正社員と同じように働いても非正規というだけで賃金を安く抑えられてしまう。

 特にひどいのは人材派遣会社による中抜きです。大手人材派遣会社の中には、働いた賃金の半分以上を中抜きしているところもあると聞きます。ここまで来ると派遣会社が極端に儲かるだけで、労働の対価とは言えないのではないでしょうか。そもそも、正当な対価を支払うという資本主義の原則にも則っていません。このケースに限らず、企業が労働の対価をもっと手厚くするシステムを構築しない限り、非正規労働者は貧困から抜け出せません」

 平等を訴えることは大切だが、恣意的に「平等」を利用して生まれる不平等もある。その事実から目を背けてはいけない。

【プロフィール】
池田清彦(いけだ・きよひこ)/生物学者。早稲田大学名誉教授。山梨大学名誉教授。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。『自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋』(宝島社新書)、『平等バカ-原則平等に縛られる日本社会の異常を問う-』(扶桑社新書)など著書多数。

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