大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

大前研一氏も実践 英語力が加速度的に上がる“実況中継”学習とは

実践的な英語力を身につけるための勉強法は?(イラスト/井川泰年)

実践的な英語力を身につけるための勉強法は?(イラスト/井川泰年)

 グローバル化が進む現代社会で、英語力は大きな武器になる。しかし、日本の学校教育で英語力を身につけるのはなかなか難しい。はたして実践的な英語を身につけるには、どうすればよいだろうか。英語でも経営コンサルティングや執筆・講演活動を行う大前研一氏が、実践的な英語学習方法を解説する。

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 これまでも書いているが、私自身、英語が上達したのは、大学時代に高価なクラリネットを買う資金を稼ぐため、通訳案内士の国家資格を取得して欧米人相手の観光ガイドのアルバイトに精を出したからだ。英語で上手に観光案内とアテンドをしてお客さんを満足させれば多額のチップがもらえるので、それが大きなインセンティブになったのだ。

 私が実践した英語勉強法は“実況中継”だ。通学中の電車の窓から見えている景色や、いま自分が考えていることを「和文英訳」せずにすぐに英語で言ってみる。すると、どうしても言えない表現が出てくるので、ネイティブの人に訊いて覚える。そのプロセスを繰り返し、言えない表現を一つずつ減らしていくのである。この“実況中継”学習で英語力が加速度的に上がり、のちに留学したMIT(マサチューセッツ工科大学)大学院でも、その後のマッキンゼーでの交渉や講演活動などでも大いに役立った。

 通訳案内士出身の経営者には、伊藤忠商事の室伏稔氏、JTBの松橋功氏、中国・アリババの創業者ジャック・マー氏らがいる。早くから英語で稼ぐ経験をしたことが成功につながったのではないか、と思う。

 ちなみに、私と同年代のラジオDJで英語が堪能な小林克也氏も大学時代に通訳案内士の資格を取り、欧米人相手の観光ガイドのアルバイトに励んだそうである。彼の場合は小学生の時に在日米軍向けラジオ放送FEN(米軍極東放送網/現在のAFN)を聴いて英語に興味を持ち、中学生時代はボイス・オブ・アメリカやオーストラリア放送などを短波で熱心に聴取して耳から英語を覚えたという。

 最近は、自動翻訳ソフトやアプリが続々と登場しているから英語ができなくても何とかなると思っている人もいるようだ。しかし、残念ながらビジネスの現場では自動翻訳は役に立たない。ビジネスの交渉で重要なのはニュアンスであり、自動翻訳にはニュアンスがないからだ。

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