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国内初の「不妊治療保険」登場 少子化対策への道筋となるか

 2004年からスタートした「特定不妊治療助成金制度」も後押しとなってきたようで、助成件数は施行当時の1万4000件から2015年には15万件に拡大している(厚生労働省)。

 ところで、不妊治療は1回当たりの治療にかかる費用が平均で50万円という高額診療だ。不妊治療費の相場を見ると、性交のタイミングを指導する「タイミング法」は5000円程度で、保険が適用される。しかしこの段階で妊娠できなければ、保険適用外の領域となる。精子を採取して卵管にいきやすくする「人工授精」で1回につき1万~3万円、卵子に精子を掛けて受精させ体内に戻す「体外受精」になると10万~30万円、卵子に1匹の精子を注入して受精したら体内に戻す「顕微授精」に至っては30万~60万円かかるという。

 結婚してから妊娠を望んで1年で出来なければ不妊症検査の受診を勧められるケースも多いが、治療費負担を考えると実際容易ではない。

不妊治療の助成制度も拡充

 こうした中、政府の中長期計画「ニッポン一億総活躍プラン」の重点課題の一つとして、少子化対策が挙げられている。そこでは「希望出生率1.8」の実現に向け、不妊治療の支援拡充が提言されている。2016年1月には助成制度を拡充し、初回治療の助成上限額を15万円から30万円に倍増した。あわせて金融庁も、4月から民間の「不妊治療保険」の販売を解禁すると発表している。

 これを受けて、業界最大手の日本生命が、10月2日に国内初の不妊症治療保険の発売を開始する。具体的には、「体外受精」や「顕微授精」など高度不妊治療1回につき5万円から10万円の給付金を最大12回計90万円受け取ることができ、不妊治療を受けた場合の給付金だけでなく、出産時の祝い金、3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)の保証、満期時の一時金なども給付される内容となっている(給付金が受け取れるのは保険に加入してから2年経過後)。

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