田代尚機のチャイナ・リサーチ

人民元のSDR構成通貨入りで「人民元高・ドル安」へ

 加盟国は、過去に4回、SDRの配分を受けている。最初は1970年から1972年にかけて行われ、合計93億SDRが配分された。その後、1979年から1981年には121億SDR、2009年8月10日には215億SDR、2009年8月29日には1612億SDRが配分された。現在のSDR累積配分額は2041億SDRとなっている。

 SDRは世界の主要通貨からなるバスケットによって算出される。その構成が10月1日より変更され、これまでの4通貨に人民元が新たに加わった。構成通貨は米ドル、ユーロ、人民元、円、ポンドで、構成比率は順に41.73%、30.93%、10.92%、8.33%、8.09%である。人民元が米ドル、ユーロに次ぐ3番目に大きな比率であるということは、IMFが人民元を国際通貨の中で、そのような位置付けとして考えているということだ。

 SDRはハードカレンシー(国際決済通貨)と交換できるが、SDRの構成要素として人民元が入っているということは、IMFが人民元をハードカレンシーと認めているのに等しい。少なくとも、世界各国は今後、人民元について、“国際的に信用力が高く、他国の通貨と自由に交換が可能な通貨”とみなすだろう。アメリカ、日本はともかく、EU加盟国、ASEAN加盟国、ロシア、中東、アフリカなどでは、人民元に対する需要は着実に強まるはずだ。

 2015年における中国の輸出額は2兆2749億ドル。世界第1位で、全体の13.8%を占める。第2位アメリカの1.51倍、第4位日本の3.64倍に達している。同じく輸入では世界第2位で10.1%。第1位アメリカの72.9%、第4位日本の2.59倍である。

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