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ワークマン 物価上昇圧力高まる中でも「値上げしない宣言」の勝ち筋

ワークマンはなぜ「値上げしない宣言」ができたのか?

ワークマンはなぜ「値上げしない宣言」ができたのか?

 ウクライナ危機で日本経済を襲うインフレ圧力に拍車がかかることになりそうだ。昨年末からじわじわと物価上昇の兆しが見え始め、牛丼チェーンやハンバーガーチェーンなどが次々に値上げを実施している。少なからぬ人にとって賃金の上昇が実感できないなかでの物価上昇に、消費者が不安な気持ちになるのも無理はない。そんななか、「値上げしない宣言」をした企業もある──。

 現場作業や工場作業向けの作業服やアウトドアウェア関連用品の専門チェーンとして全国で940店舗を展開するワークマンだ。2月1日には、会社ホームページで「緊急告知!!『価格据え置き宣言』ワークマンは売上の6割を占めるPB品価格を維持」と告知。PB(プライベートブランド)製品について、インフレ下での「値上げしない宣言」である。

 原材料や海上運賃の値上がりなどで同業他社が悲鳴を上げているなか、全てのPB製品を海外で生産しているワークマンは、なぜ「値上げしない」という決断をすることができたのか。広報担当者がその理由をこう明かす。

「バイヤーが直接、海外の工場と価格交渉をしているのが理由の1つです。大量生産を実施したり、生産の時期を通常のアパレルの繁忙期からずらし、工場の閑散期に製造したりすることで価格を抑えています。また、高機能、低価格という企業イメージをより定着させるために、今回の決断をしました」

 今回の「値上げしない宣言」はいつまで続くのか。

「期間は明確にはお答えいたしかねますが、新規顧客を増やしていこうとする現時点では(値上げは)当分ないかと思います。円安、原材料、海上運賃など外部的な要因で極端な高騰があった場合は値上げを検討する可能性はあります」(同前)

 生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏は、ワークマンの企業特性をこう分析する。

「もともと『値引きセールをしない』がワークマンのビジネス戦略です。ワークマンのPB製品は流行性、ファッション性が高くないため、価格の流動性や在庫数をそこまで気にする必要がありません。そのため、“在庫一掃処分”といったセールをする必要がなく、安定した収益確保につながっています。ただ、それは一方で、今回のような局面で一度値上げをしたら、下げることが難しくなるということでもある。それだけにインフレとはいえ、ライバル店よりも値上げには慎重な姿勢を取っているのだと考えられます」

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