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ゼレンスキー大統領の演説はなぜ心を掴むのか 「話し方より語られる内容が秀逸」

ウクライナのゼレンスキー大統領の言葉はなぜ響くのか(3月16日、アメリカの連邦議会で実施されたオンライン演説の様子。写真/AFLO)

ウクライナのゼレンスキー大統領の言葉はなぜ響くのか(3月16日、アメリカの連邦議会で実施されたオンライン演説の様子。写真/AFLO)

 出会いと別れの季節である春。卒業式や入学式、入社式などの人生の節目では、さまざな“名スピーチ”が生まれる。スピーチの内容や口調には“トレンド”があり、時代とともに変化してきた。スピーチライターの蔭山洋介さんが解説する。

「昭和の前半までは『~であります』と語尾を上げて偉そうに語る人が多かった。戦後になると政治家が頭を下げてへりくだるようになり、田中角栄元首相は『~してまいります』となった。さらに後の小泉純一郎元首相は、それまで使われることが少なかった『ですます』口調を取り入れ、まっすぐに『です』『ます』と言いきるようになりました。

 内容については昭和の演説は抽象的な言い回しが多く、中身がなかった。平成や令和になるにつれ、より具体的なことが語られるようになりました。異例だったのは田中元首相で、“この新潟の山は邪魔でしょう。取っ払って高速道路にしましょう。日本列島改造です”と具体的な政策をアピールして一般大衆から支持されました」

 語りひとつで聴く者の心を奪うのが、名スピーチだ。

 いま世界トップの名スピーチの担い手といえば、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の名前が挙がるだろう。2月24日、世界の専門家の予想に反して、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した。軍事大国を相手に陥落は時間の問題と思われたが、ウクライナは各国からの支援を得て祖国を守る大健闘を続けている。

 大きな要因となっているのがゼレンスキー大統領の演説だ。侵攻開始以降、ゼレンスキー大統領は主要国でオンラインの名演説を行って人々の心を掴んでいる。日本でも3月23日に国会でオンライン演説が行われて注目を集めたが、蔭山さんは「ゼレンスキー氏の話し方は、じつはそれほどうまくない」と語る。

「身振り手振りがあまりなく、無表情で、時々うつろな目になって、原稿は棒読みに近い。そのため、話し方の評価は高くないけれど、語られる内容が秀逸です。特に各国の偉人の言葉や歴史的な事象、地名などを取り上げて、『私とあなたは一体だ』という感情の連帯を作り出すことが非常にうまい」

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