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高齢・持病ありでも入れる「引受基準緩和型保険」の落とし穴 保険料が保障上回る例も

 Aさんが「家族に残す葬儀費用のために」と加入した終身保険はどうか。

「月額保険料8300円を80歳まで10年間払い込むと、99万6000円になります。仮にAさんが日本人男性の平均寿命(81.64歳)まで生きるとすると、保険料総額が死亡保険金を15万円ほど上回ることになる。

 このように、緩和型保険は多くのケースで支払った保険料が保障を上回り、損をする可能性がある保険だと考えます。老後資金に余裕がなく、大病をしたらすぐに生活費が逼迫するような場合を除き、加入前に一考すべきでしょう」(同前)

 すでに加入した場合でも、「損だと思ったら速やかに解約の検討を」と長尾氏は勧める。

「緩和型医療保険は基本的に掛け捨てなので、いつ解約してもいいでしょう。貯蓄性のある緩和型終身保険は『これまで払った保険料がもったいない』と思うかもしれませんが、やはり解約するほうが合理的ではないか。払い込み済みの保険料を下回りますが、基本的に解約返戻金も受け取れます。

 それでも、『解約したあとに病気になったらどうしよう』『家族に葬式代を残せない』と考えてしまう人が多いようですが、その迷いのせいでズルズルと保険料を払い続けてしまうのは本末転倒です」

 そもそも保険はインフレに弱い金融商品とされる。目の前の値上げ地獄のなかでは、払った保険料を“損切り”することにより、月数千~1万円程度の保険料を今後、まるまる節約できることになる。この状況下では有力な選択肢のひとつと言えそうだ。

※週刊ポスト2022年4月29日号

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