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司法書士は不動産相続のエキスパート 2024年の相続登記の義務化を前に相談急増

 親や親族に大きな負債があった場合、リスク回避のために「相続放棄」を選択する人が増えている。この手続きが司法書士に委ねられるケースも多い。司法書士の椎葉基史氏が言う。

「相談が多いのは、事業失敗や消費者金融などのオーバーローンで親や親族が破綻状態だったケース、買い手のつかない古家や田畑、山林などの不動産を相続したくないケース、被相続人と付き合いがなく関わりたくないケースなどです。相続放棄の申立ては、原則として相続の開始を知った日から3か月以内に行なう必要があります」

 手続きの期限内に必要書類を集めて家裁に申立てしても、不備を指摘され補正を求められることもある。書類の作成には細心の注意を払わなければならない。

「補正に応じないまま時間が経過してしまうと、家裁への申立てが却下されることになります。この場合、2度目の申立てはできません。また、相続放棄ができたとしても、債権者などに自動的には通知されません。今後、債権者と関わりを持たないためには自分で債権者らに連絡する必要がありますが、相手によってはやりとりに苦労することがあります。

 さらに、相続順位が下の相続人への説明や手続きへの協力依頼も手間がかかるうえ、精神的な負担が大きい。専門家に任せれば、そうした苦労をする必要がなくなります」(椎葉氏)

 司法書士への依頼費用は、相続人1人あたり4万~7万円程度。万が一、3か月以内に相続放棄の手続きが完了しない場合は、別途、期間延長の申立てが必要で、さらに費用がかかることがある。

「やり直しがきかない相続放棄は専門家の実績を重視して依頼を検討すべき」と椎葉氏も言うように、依頼に際しては「費用対効果」と信頼性を熟慮する必要がありそうだ。

※週刊ポスト2022年7月1日号

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