ビジネス

円安こそ最大の好機「日本株の上昇機運はマグマのように溜まっている」と武者陵司氏

ドル円相場は1998年以来24年ぶりの1ドル=144円台に(9月7日。時事通信フォト)

ドル円相場は1998年以来24年ぶりの1ドル=144円台に(9月7日。時事通信フォト)

 長引くコロナ禍にウクライナ戦争が重なり、「円安」や「物価高」が危機と叫ばれているにもかかわらず、日経平均株価は大崩しない展開が続いている。昨年9月14日に3万670円という約31年ぶりの高値をつけた株価は、今年の3月8日に2万5000円を割り込む反落を経ながらも、盛り返してきた。

 8月26日、アメリカの経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」では、米FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が講演。インフレ抑制のための利上げによる金融引き締め継続を表明した。

 これを受けて景気減速の懸念が高まり、株価が急落。同日のNYダウは1000ドル超も下落し、日経平均も2万8000円を割り込む展開となっているが、その一方で、「日本株は弱くない」との見方から、今後の見通しについて強気な声が出ている。

 日経平均はバブル真っ只中の1989年末に3万8915円の最高値をつけて以来、30年あまりにわたってそれを上回ることはなかった。だが、「このまま3万円を超え、もうすぐバブルを超える『4万円』の大波が到来する」と予測する投資のプロたちがいるのだ──。

「日本株の上昇機運はマグマのように溜まっており、噴き上がるのを待っている状態です」

 そう指摘するのは、投資ストラテジストで武者リサーチ代表の武者陵司氏だ。武者氏によれば、バブル崩壊後の「失われた30年」の苦境が、逆回転を始めているという。

「日本企業が大躍進を遂げた1980年代以降、脅威に感じたアメリカは『超円高』と『貿易摩擦』による日本叩きに走り、日本企業は競争力を失った。

 しかし、日本が長期低迷するなか、中国の台頭で、今度は対中戦略がアメリカの最優先課題になった。アメリカが対中戦略を進めるうえでは、“強い日本”にしておくことが地政学的にも重要です。日本企業の競争力を高めるために、まるで振り子のように『円安』に転じている。日米の金利差も背景にあるこの円安は、日本復活のためにアメリカが打った“布石”とも言えるでしょう」

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。