キャリア

大学生活で消えゆく先輩から後輩への“おごり文化” 割り勘文化への分水嶺は30代か

大学生の“おごり文化”は時代とともに変容しつつある(イメージ)

大学生の“おごり文化”は時代とともに変容しつつある(イメージ)

 上級生が下級生の分の飲食代を全部出す、あるいは多めに支払う。そして下級生も学年が上がると、下の代に同じことをして還元していく──。かつて大学の部活やサークルでは、“伝統”の名のもとに“おごり文化”が受け継がれてきた。しかし時代とともに、その構図は変わってきているようだ。20~50代の各世代に話を聞いて、学生の“おごり”に対する価値観の変化を探った。

50代男性「後輩におごるのは先輩の責任だった」

 1980年代後半に都内の国立大学生だった男性・Aさん(55歳、金融機関勤務)は、吹奏楽サークルに所属していた。後輩におごるのは先輩の「責任」だったと振り返る。

「私が通っていた大学では、新歓時期だけでなく、1年生には1年間、先輩が全額おごるのが伝統でした。食事や飲みに行って、先輩の人数が1年生よりも少ないと、たくさん出さないといけなくなるので、“割り勘要員”として同期や先輩に招集をかけることもよくありましたよ。声をかけられたほうも、事情はよくわかっているし、損得勘定はなかったと思います。むしろ先輩としての“責任”という感じでした」(Aさん)

 Aさん自身がおごってもらう立場だった頃、先輩がよく口にしていた言葉があった。

「お礼を言うと、先輩たちは『俺らがごちそうしたように、後輩にやってあげたらいいんだよ』と。ちょっとかっこいいな、と思いました。その言葉はずっと頭に残ってましたね」(Aさん)

40代男性「おごるために、バイト代が飛んでいった」

 1990年代後半に大学生活を過ごした男性・Bさん(47歳、出版社勤務)は、野球サークル出身。試合後、サークルのメンバーで食事や飲みに行くことはよくあった。

「1年生はタダ、あるいは『1000円でいいよ』という感じでした。年次が上がっていくにつれ傾斜配分で多く払うシステムで、4年生は毎回5000円ぐらい普通に出していたと思います」(Bさん)

 Bさんも、Aさん同様、「下級生の時におごってもらっていたのだから、自分たちが上級生になった時はそうするものだと思っていた」と言う。そしてやはり、「自分たちの代の人数よりも新入生が多いと、支払いは大変になる」という問題があり、Bさんは「上級生になると、バイト代があっという間に飛んでいったものです」と懐かしむ。

「でも今考えると、社会人ならともかく、学生だから稼ぎがあるわけでもないのに、上級生が多めに払うのって、おかしな慣習ですよね。当時はそんなことまで考えもしませんでしたが……」(Bさん)

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。