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身内が亡くなった直後に「やってはいけない手続き」 故人の預金引き出し、携帯解約の落とし穴

故人の口座から当座必要なお金を引き出すと、トラブルの火種に(イメージ)

故人の口座から当座必要なお金を引き出すと、トラブルの火種に(イメージ)

 家族が亡くなった時に必要な手続きは、死亡届の提出から銀行口座の凍結、不動産の名義変更など100件を超えるケースもある。遺族の負担は大きい。

「相続」を巡る手続きが煩雑で難しいのは、この数年、制度の大改正が相次いでいるからだ。かつては相続税を課税されるのは一部の資産家くらいだった。課税対象でなければ、少なくとも相続税関係の手間はかなり省ける。

 ところが、2015年の相続税制改正で「基礎控除」が縮小され、課税対象者が大幅に広がった。金融資産は少なくても、故人名義だった自宅の相続税評価額が想定していた以上に高額で税務申告が必要になったというケースも少なくない。

 その後も2019年には民法の相続関係規定が大改正され、「配偶者居住権」の新設や、法務省による自筆証書遺言保管制度などが整えられた。相続トラブルを防止し、納税をスムーズにするための仕組みが追加されたのだが、その分、制度や手続きは一層複雑になった。

 2024年からは「相続登記」が義務化される。不動産を相続した場合、登記所(法務局)で不動産の所有権を相続人に名義変更しなければならないが、これまでは期限に定めがなかった。そのため、田舎の家や土地を子孫が相続しても、名義は曾祖父のままになっているといったケースは非常に多い。それが2024年4月からは「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記をしなくてはならなくなる。

 さらなる大改正も控える。現在、政府は「生前贈与」を利用した相続税の“節税”を防ぐための税制改正を検討しており、実施されるとまた制度が変わるのだ。

 そうした制度変更に備えるためのムック『週刊ポストGOLD 相続の大改正』に登場する解説者の1人である円満相続税理士法人代表の橘慶太氏が「正しい相続の手続き」のポイントを説明する。

「相続の手続きで一番注意すべきは、その手続きを行なうタイミングです。役所や金融機関などへの届け出から、戸籍の取得、遺言書の開封など必要な手続きは数多くあるが、タイミングを間違えると大変なトラブルが起き、手間と時間が途方もなくかかる。とはいえ、いざ家族が亡くなると葬儀や遺品整理など膨大な作業があり、慌ただしいなかで正しい手順を考えるのは簡単ではありません。だからトラブルを防ぐには、最低限、『何をやってはいけないか』を把握しておくことが肝要です」

 2017年に始めたYouTubeチャンネル「円満相続ちゃんねる」の再生数が980万回を超える橘氏が「身内が亡くなった直後にやってはいけない手続き」を解説する。

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