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【日本株週間見通し】東京株式市場は上値を試す展開か

日経平均は3週続伸

日経平均は3週続伸

 投資情報会社・フィスコが、株式市場の11月7日~11月11日の動きを振り返りつつ、11月14日~11月18日の相場見通しを解説する。

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 先週の日経平均は週間で1063.83円高(+3.91%)と3週続伸。ローソク足は3週ぶりに陽線を形成。26週移動平均線をはじめ、その上に位置する52週、13週線をも一気に上抜いた。

 週前半は買いが先行し、7、8日の日経平均は327.9円高、344.47円高と続伸。米10月雇用統計の内容や米連邦準備制度理事会(FRB)の一部高官の発言を受けて利上げ減速観測が広まったことが株価支援要因になった。また、根強い中国での「ゼロコロナ」政策緩和期待も後押しした。さらに、米中間選挙において、下院で共和党優勢との報道を受け、民主党政権が掲げる増税法案が通りにくくなるとの思惑も買いに拍車をかけた。

 週半ば9日に155.68円安と騰勢一服を挟んで10日は270.33円安とやや大きめに続落。米中間選挙で下院での共和党勝利の勢いが期待された程ではないことが判明し、政局の先行き不透明感が台頭。加えて、暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXが資金繰りの悪化に直面し、破産法適用の申請が近いとの報道を背景に、暗号資産価格が軒並み急落したことも投資家心理を悪化させた。

 しかし、週末11日は一転して817.47円高と急反発。米10月消費者物価指数(CPI)の伸びが予想以上に鈍化したことで、FRBの利上げペースが減速するとの思惑が強まり、米長期金利が大幅に低下。10日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+10%と急騰したことで、業績予想を下方修正した東京エレクトロン<8035>も急伸するなど値がさハイテク株を中心に上昇し、指数を押し上げた。

 今週の東京株式市場は上値を試す展開か。先週末の流れを引き継いで、週明けもインフレ減速・金融引き締め懸念後退を好感した動きが継続しそうだ。15日に米10月卸売物価指数(PPI)が発表予定で、CPIに続きコア指数の減速が確認されれば株式市場は一段高となるだろう。ただ、石油輸出国機構(OPEC)プラスによる協調減産や根強い中国での「ゼロコロナ」政策の緩和期待を背景に原油市況が9月下旬以降はじりじりと下値を切り上げているため、ヘッドラインインフレの上振れには注意が必要だ。

 米10月CPIの方もコア指数が大きく減速したとはいえ、前年比ではまだ+6.3%と高い水準だ。また、サービス分野の項目をみると、医療サービスが前月比-0.6%と9月(+1.0%)から大きく減速し、これがコア指数の押し下げとして働いたことが分かる。ただ一方で、CPIの3割以上と最も大きい構成比を占める住居費は+0.8%と9月(+0.7%)から加速している。相関性の高いS&Pコア・ロジック・ケース・シラー住宅価格指数などの米住宅価格の代表的な指標は今年4月をピークに減速しているため、1年程遅れて動く遅行性を踏まえれば、住居費の減速も時間の問題だが、1年から1年半の遅行性を踏まえると住居費の減速にはまだ時間がかかる見通しだ。今後、コアCPIが前年比で+6.0%台をしぶとく維持する可能性もあり、中長期では警戒を解くことはできない。

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