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新幹線「お子さま連れ専用車両」などの取り組みも “女性に愛される鉄道”はこうして生まれる

“お母さん目線”からのサービスも増加している(イメージ)

“お母さん目線”からのサービスも増加している(イメージ)

 鉄道開業150周年。かつて男性中心だった鉄道業界には、1999年の男女雇用機会均等法と労働基準法の改正(施行)を境に、優秀な女性が続々と登場。その活躍の場は広がっている。「女性活躍」とは、男顔負けの優秀な女性だけが前に出ることではない。どんな女性も活躍する機会を奪われず、自分らしく働けるようになることだ。

 30年ほどで女性活躍の地盤が整いつつある鉄道業界では、多様な視点を生かした、社員発案の新たな取り組みが生まれている。

 例えば、JR東海では、例年、夏休みや年末年始など期間限定で「お子さま連れ専用車両」を実施している。子供連れでも気兼ねなく新幹線を利用できるよう、考えられた企画だ。

 小さな子を持つ親にとって新幹線での移動は大仕事。10月2日に生後1か月半の娘を連れて新幹線に乗車した夫婦に対し、隣席に座っていた女性客が「最悪、はずれだ」と聞こえよがしにつぶやいたことがSNS上で広がり、ウエブニュースにもなった。

 子供を連れて鉄道を利用する人への風当たりは社会全体の問題だ。だが、「社会の風潮が変わるのを待っていてはいけない。いま困っている人がラクになる方法はないか」という社員の意見が形になったサービスだといえる。鉄道ジャーナリストの渡部史絵さんが言う。

「小田急電鉄では、一部の通勤車両の3号車を『小田急の子育て応援車』として、利用客に子供連れを温かく見守るよう呼びかけています。ほかにも、小田急はすべてのロマンスカーにおむつ交換ができるベビーベッドを設置したり、普通車の小児IC運賃を50円にしたりと、子育て世代を大切にする企業努力をしています」

 女性の従業員の活躍は“お母さんの目線”でのホスピタリティーや、同じく母親である利用者の共感にもつながる。

 ある寒い朝、新幹線の車内清掃を行うJR東日本テクノハートTESSEIの清掃員の女性が東京駅のホームを巡回していると、赤ちゃんの靴下の片方が落ちていた。

「赤ちゃんが寒い思いをしているのではないか」と考えた女性は、広いホームを必死に捜し、靴下を片方だけ履いた赤ちゃんを抱いた母親を見つけ出し、靴下を手渡したという。1966年に国鉄に入社後、40年間にわたり鉄道人として勤務した、おもてなし創造カンパニー代表の矢部輝夫さんが言う。

「TESSEIのスタッフは、清掃の前後にホームに向かって整列し、一礼します。ある日、小学校低学年くらいのお子さんを連れた女性のお客さまが、それを見て“ほら、何でも、礼に始まり、礼に終わるのよ”と教えているところを目にしたときは、目頭が熱くなりました。 また、目の不自由なお客さまを案内したスタッフが“この前も案内してくれたかたですよね”と感謝されて、うれしさのあまり言葉に詰まったと話していました」

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