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遺産相続「行方知れずの兄の分」は保管しておくべきなのか?弁護士が解説

「兄の遺産分」は残しておくべき?(イメージ)

「兄の遺産分」は残しておくべき?(イメージ)

 遺産相続では、それぞれの相続人に認められる割合が決められている。しかし、相続人の中に連絡の取れない人などがいた場合、その分を確保しておく必要はあるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 父が亡くなり、悩みは遺産相続。私には30歳になる兄がいますが、10年前に父と大喧嘩し、家を飛び出したまま音信不通です。遺産は母が2分の1、残りを兄と私が分け合いますが、もしかしたら、ふらっと家に戻り、遺産をくれというかも知れません。その場合に備え、兄の取り分は保管しておくべきですか。

【回答】
 共同相続では、遺言がなければ、相続人間の協議や家庭裁判所の調停、審判で遺産分割することになりますが、行方不明の相続人がいると、こうした手続はできません。

 住民票などの公的資料でも所在地がわからず、友人や勤務先など、手を尽くしたのに結局は行方不明の場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう方法と、生死不明の状態が7年以上続いているときには、失踪宣告をしてもらう方法があります。

 不在者財産管理人は、不在者の財産目録を作成し、その保存行為か、財産の性質を変更しない範囲で利用や改良をするだけですが、家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議ができ、その場合には、後から不在者が帰宅しても分割取得した財産に影響はありません。ただ、管理人報酬が必要で、不在者が遺産分割で取得した遺産は、不在者管理人が管理する状態が続きます。

 他方、失踪宣告の場合は死亡とみなされ、独身で子供がいなければ、他の共同相続人だけで遺産分割できます。失踪宣告には大きな費用はかかりませんが、生死不明が前提ですから、行方不明でも連絡がある場合はできません。

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