田代尚機のチャイナ・リサーチ

「高すぎる油麺」春節の中国国内旅行でぼったくり多発 SNSで拡散され改善命令

春節期間、中国の観光地には多くの人たちが集まった(陝西省西安。Getty Images)

春節期間、中国の観光地には多くの人たちが集まった(陝西省西安。Getty Images)

 今年の中国春節は大方の予想通り、3年ぶりの活況に沸いた。中国の文化旅行部データセンターが1月27日に発表した推計データによれば、春節休暇期間における国内旅行客は前年同期比23.1%増の延べ3億800万人、国内旅行収入は30%増の3758億4300万元(7兆1410億円、1元=19円で計算、以下同様)となった。新型コロナウイルス流行前の2019年と比べると、それぞれ88.6%、73.1%の水準まで回復している。さらに、航空券、列車チケット、観光タクシーなどの予約件数では2019年の春節を超えている。

 中国の観光地では旅行特需の恩恵を受けているが、顧客の中には現地の対応について不満を持つ人も多いようだ。SNS上には不満の声が溢れている。

 たとえば、ある旅行客が1月24日、西安市回民街で1杯20元(380円)の陝西省名物の油麺を注文したが、出てきた名物には大きな器に大小6本の麺しか入っていなかった。日本のきしめんをもう少し太くし、形を不揃いにしたような手打ち麺であり、日本の麺よりは随分太いとはいえ、器と比べてあまりにも少ない。この女性客は店員を呼び、無料で大盛りにできるか尋ねたが、店員はダメだという。恐らく、予想以上の顧客数で麺の量が足りなくなっていたのだろうが、それは店側の都合に過ぎず、それなら売り切れとして、店を閉めるべきだろう。気分を害した彼女はSNSにショート動画をアップし、店の対応を含め、一部始終を暴露した。

 また、ある旅行客が1月24日、広西チアン自治区北海市のごく一般的なホテル内のレストランで4品の料理を注文したところ、1500元(2万8500円)の支払いを請求された。北京、上海の5つ星ホテル並みの値段である。高すぎるとSNSに不満を書き込むと、現地の状況を良く知るネット民から、「このレストランの一人当たり消費額は100元(1900円)程度であること、ここにはタクシー運転手の紹介でやってきたのだが、タクシー運転手は客を呼び込むとその50%をリベートとして受け取る契約になっていること」などの情報提供があったという。

 前述の高すぎる油麺だが、一瞬のうちに拡散、多くの“いいね”が集まった。彼女と同じような対応をされ、不満を持つ旅行客たちによる情報が集まったことで、所轄の市場監督管理部門の担当者が1月26日、確かに麺の量は少ないことを認め、当該レストランに改善を督促している。

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