住まい・不動産

ならばどう振る舞えばいいのか? “池田町の七か条”から考える地方移住で地元の人に受け入れられる条件

「都会風を吹かさないで」など、移住者向け「七か条」が注目を集めた福井県池田町

「都会風を吹かさないで」など、移住者向け「七か条」が注目を集めた福井県池田町

 福井県池田町が、移住者に向けて示した「広報誌の文言」が波紋を広げている。その内容は、“都会風を吹かさないように”などと注意喚起するものだった。高齢化や人口減に歯止めをかけるために移住支援に力を入れる自治体が多いなかで、移住してきた人と、もともとの地元住民の意識のギャップが図らずも浮き彫りとなるケースは少なくないという。

 今回、話題になっているのは、池田町が1月に発行した広報誌に掲載された「池田暮らしの七か条」なる文書だ。そのなかでは、〈これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心掛けてください〉〈どのような地域でも、共同体の中に初顔の方が入ってくれば不安に感じるものであり「どんな人か、何をする人か、どうして池田に」と品定めされることは自然です〉といった記述がなされている。

 実際、地元で長く暮らす人から見て移住してきた若い世代がどんな人間かは気になるところだろう。ただ、その振る舞いが「都会風を吹かせている」と受け止められるのであれば、移住した側に“ならばどう振る舞えばいいんだ”といった疑問も出てくる。都会での生活から離れて田舎暮らしを志向する人は少なくないが、実行に移した際に上手くいくかどうかはケースバイケースだ。地方移住でうまくいくための条件はあるのだろうか。

 北海道在住で、建設会社、不動産会社、介護ショップなどのオーナーを務め、一級建築士、宅地建物取引士、社会福祉士などの国家資格を持つファイナンシャルプランナーの小林信之氏はこう話す。

「地方移住をして地元の住人たちから受け入れられる条件を考えると、まずは『ポジティブで柔軟な人』というポイントが浮かびます。あとは、都会風を吹かせないことも重要になるでしょう。地方によっては人口減少への切迫した危機感がある。とはいえ、移住者の希望がすべて受け入れられるわけはないのが難しいところです」

 実際に移住してみたものの、うまくいかずに去って行くケースも少なくないのだという。そうした現実も踏まえて、小林氏は「ポジティブな人のほうが向いている」と強調している。

「私は北海道在住ですが、冬の気候は厳しい。春夏秋といった気候の良い時期に旅行に来て、それをきっかけに移住してみたものの、冬の寒さに耐えきれず逃げ出すケースも多いのです。また、地元のイベントに参加しなかったり、町内会に入らないような人は孤立する傾向にあります」(小林氏)

 様々な想定外の事態に直面しても、それを乗り切る前向きさを持てるかが、地方移住を成功させられるかのカギとなりそうだ。(了)

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