利下げの可能性が取り沙汰される中でFRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長の発言に注目が集まる(AFP=時事)
米国のトランプ大統領の関税措置にともない、株式市場はボラティリティが高い状態が続いている。その中で、トランプ米大統領はFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長に利下げを求める投稿をおこない、今後の金融政策の行方にも注目が集まっている。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。
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米国のトランプ政権による関税政策の影響で、相場のボラティリティが高い状態が続いています。4月2日に発表された相互関税以降、予想を上回る関税率の高さから、世界経済への影響が懸念されています。トランプ大統領はFRB(連邦準備制度理事会)に対して利下げを要求していますが、そう簡単には進まない状況です。
今回は、関税政策と金融政策のバランスについて整理してみます。
関税による景気後退懸念
現在、市場が最も注目しているテーマが「トランプ関税」です。高関税により各国が報復関税に踏み切り、貿易戦争に発展するのではないかという不安があります。もしそうなれば、インフレ率が上昇し、消費が冷え込み、景気後退につながる可能性があるからです。
このようなリスクを米政権も認識しており、トランプ大統領は自身のSNS「Truth Social」で、「ジェローム(※注:FRBのジェローム・パウエル議長)、金利を引き下げろ。政治的な駆け引きはやめろ!」と投稿しました。
一方で、同日に行われたパウエル議長の記者会見では、利下げに対して慎重な姿勢が示されました。