日本に流通している生鮮アーモンドの97%が米国産だという(写真:イメージマート)
発がん性リスクのあるカビ毒に汚染されたとうもろこし、大腸菌が付着した豚肉、ヒ素が検出されたサプリ飲料……本誌・週刊ポスト(2025年5月23日号)が報じた日本の食品衛生法に違反する米国産食品の実態に、読者からは「どんなメニューに使われているのか」「どこで売られているのか」などの問い合わせが相次いだ。
食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が指摘する。
「前提として、検査体制に“穴”があります。厚労省の輸入食品監視統計(2023年度)によれば、食品衛生法に基づく検査率はわずか8.5%。違反の可能性が低いと考えられる食品を対象にしたモニタリング検査では、結果を待たずに輸入することができるため、違反が判明した時には市場に流通しているケースもある。
また、厚労省は食品衛生法に違反した輸入食品を公表しますが、回収されずに流通した食品がどこで売られたか、何に使われたかまでは明らかにしません。輸入業者にも公表の義務はない。消費者は何も知らずに口にしてしまうかもしれないのです」
さらに輸入原料を国内で加工した食品に関しては「原料原産地表示制度」によって重量第1位の原材料にしか表示義務がなく、2番目以降の産地はわからない。
違反事例が相次ぐ米国産食品はどのような形で消費者に届くのか。厚労省が公表する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」の過去5年分(2020年4月~2025年3月末)から、違反件数の多い食品の主な用途を追跡した。