中国カンニング業者の呆れた実態(「5月18日のTOEICに向けて明日から(デバイス不正の)練習を始めますよ」と業者から連絡)
5月19日、警視庁野方署は昨年6月と今年3月のTOEIC試験会場で替え玉受験を行なっていたとして中国籍で京都大学大学院2年の王立坤容疑者(27)を建造物侵入容疑で現行犯逮捕したと発表した。同容疑者は替え玉受験だけでなく、マスクに隠した小型マイクで試験中に外部へ解答を送っていた可能性も伝えられている。報酬目当てによる犯行だったとも供述しており、組織的なカンニングビジネスが背景にあると見られている。
中国に詳しいライターの廣瀬大介氏が事件の一報を受け、日本での各種試験の「カンニング」を謳う中国側の複数の業者に接触を試みると、やり取りのなかで「王立坤容疑者に報酬を渡して替え玉受験を行なわせていた」と語る業者が現われた――。廣瀬氏がレポートする。
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中国人向けSNS「小紅書」には今も多くのカンニング業者による広告が投稿されている。JLPT(日本語能力試験)、EJU(日本留学試験)、TOEIC、TOEFLなどで点数保証を行なうという内容である。いずれもスマートウォッチやマイクロイヤホン、替え玉受験による手口で費用の相場は2万元(約40万円)~4万元(約80万円)である。
TOEICカンニング事件の実態を取材するため、複数の業者に“サービス”の内容を問い合わせるDMを送ったところ、ある業者から重要な証言を得ることができた。業者が問い合わせ窓口としているウィーチャットに連絡をしたところ、担当者と思われる女性が中国語でこちら側の希望点数を聞いてきた。800点を希望しているが、どんな方法があるかを尋ねるとこう回答した。
「今、ご提供出来るのはスマートウォッチを使った方法です。点数も800点前後になるように調整して解答を送ります」(日本語訳、以下同)