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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】アーレスティ Research Memo(1):収益構造改革で増益。稼ぐ力の強化に向け米国工場の収益性改善を急ぐ

*16:11JST アーレスティ Research Memo(1):収益構造改革で増益。稼ぐ力の強化に向け米国工場の収益性改善を急ぐ
■要約

アーレスティ<5852>は、国内11拠点に加えて海外5ヶ国、8拠点でグローバル展開するアルミダイカスト(以下「ダイカスト」)専業のリーディングカンパニーである。Research、Service、Technologyの追求と統合によって豊かな社会の実現を目指すことを企業理念として掲げ、それぞれの頭文字RST(アール・エス・ティー)を続けて読んだ社名を冠する。主力となる自動車向けのダイカスト製品のほか、ダイカスト用金型・周辺機器、アルミニウム二次合金地金、フリーアクセスフロアなどを製造・販売する。地金製造をはじめ、製品設計から金型製作、鋳造、機械加工とグループ内で一気通貫の生産体制を整え、図面1つで世界の各工場での同一製品の生産・供給を可能にする「ワンプリントマルチロケーション」を強みとし、自動車の電動化・軽量化に伴うダイカスト需要の増加に応え成長を目指す。

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高162,929百万円(前期比3.0%増)、営業利益3,371百万円(同47.2%増)、経常利益3,044百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失2,892百万円(前期は7,699百万円の損失)となった。国内自動車生産の落ち込みなどにより受注量は前期を1.5%下回ったが、円安の影響などで増収を確保した。損益面では、日本及び中国における生産体制の合理化による固定費圧縮や生産性改善、コスト上昇を反映した適正な価格是正に取り組んだほか、前期の中国工場減損による減価償却費低減も大きく、営業利益は前期の約1.5倍の増益となった。上期は営業損失を計上していたが、収益構造改革が奏功し下期で収益を大幅に改善した。一方、特別退職金1,155百万円、収益の悪化した米国工場を中心に減損損失3,300百万円を計上したほか、アーレスティメヒカーナS.A. de C.V.(以下「メヒカーナ社」)における会計上の機能通貨(米ドル)と税務基準額計算上の現地通貨(メキシコペソ)の為替相場変動による繰延税金資産の取り崩し発生(約11億円)もあり、親会社株主に帰属する当期純損失が2,892百万円まで膨らんだ。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高161,200百万円(前期比1.1%減)、営業利益3,600百万円(同6.8%増)、経常利益3,100百万円(同1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,300百万円(前期は2,892百万円の損失)と減収、増益を見込む。顧客の生産計画をベースとしつつも保守的に見積もり、米国関税の影響により最終仕向地が米国である製品の一定の減少も織り込んだ。その一方で米国での受注は順調に伸びており、中国での中資系顧客との取引拡大、インドでの第2工場稼働による増産対応などもあり、受注量は前期比横ばいを見込む。損益面では、米国工場の収益改善に最優先に取り組み、北米セグメントの黒字化を確保する。そのほか、前期に実施した生産体制の合理化や生産性改善効果の通期での寄与、減損に伴う減価償却費低減に加え、引き続き生産体制の効率化や生産性改善など収益構造改革に注力し、受注変動への耐性を一層強化し増益を見込む。最終利益も黒字転換を計画する。2025年7月には中国で金型を製造している阿雷斯提精密模具(広州)有限公司(以下「阿雷斯提精密」)の売却を予定しており、譲渡益8億円を特別利益に織り込んでいる。

3. 「2040年ビジョン」「10年ビジネスプラン」と中期経営計画
同社は2038年に創業100周年を迎えるに当たり「2040年ビジョン」を定め、「軽量化で地球の未来に貢献する」「Ahrestyで良かった!を実現する」「技術探求を続け、唯一を生み出す」ことで「期待を超える2040」を目指す。加えて2030年度を最終目標とする長期経営計画「10年ビジネスプラン」と、その最初の3年間のマイルストーンとなる22-24年度中期経営計画(以下「2224中計」)を推進してきた。2224中計では、「低コストで生産性の高いものづくりの確立」「CO2排出量削減活動の推進」「電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフト」を戦略の柱に据え、売上高の確保、生産性の向上、稼ぐ力の強化に取り組んできた。2024年度の目標であった売上高1,700億円、営業利益率3.8%などは達成できなかったが、日本、中国における生産体制の合理化、開発リードタイム短縮など生産性の向上は着実に進み、2224中計期間の稼ぐ力は大きく向上した。2025年5月に公表した25-27年度中期経営計画(以下「2527中計」)では、その稼ぐ力をさらに強化するため「SMARTなものづくり」に注力し、従来とは異なる「収益が出るように工夫して良品を作る」ものづくりを構築する。「Reinvent Ahresty~未来に向けてアーレスティを再発明する~」を掲げ、信頼に応え「期待を超える」ための誠実なものづくりの「継承」と、収益が出るものづくりを「再構築」することを目指す。2027年度の数値目標は、売上高1,700億円、営業利益率3.5%(2024年度2.1%)、ROE7.0%(同-5.6%)、2030年度電動車売上比率55%(同42%)、CO2排出量削減41%(同35%)とした。

■Key Points
・2025年3月期は増収増益だが、収益構造改革に伴う損失や米国工場の減損損失計上で最終赤字
・2026年3月期は受注量横ばい、米国工場の収益改善により増益、最終黒字化見込み
・電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフトにより成長確保

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

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