申請したら「貰えるお金」は様々(イメージ)
想像したくないことではあるが、もし家族に先立たれたら、ひとりで生活できるのか……不安ばかりが募るが、老後ひとり暮らしの明暗を分けるのは、日々の小さな工夫だ。月々の収支はもちろん、銀行の預金通帳や印鑑の場所まで配偶者任せ──そんな人は家計のやりくりで苦境に立つケースが多い。家計管理に詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が語る。
「年金生活者で厚生年金に加入していた夫が月15万円、国民年金に加入していた妻が月6万円で月額21万円の場合。仮に妻が先に亡くなると6万円が減ることになります」
夫が先に亡くなった場合と違い、妻に先立たれた場合は遺族年金を受け取れないケースが多い。
「遺族年金は生計を維持されていた遺族が対象となり、夫が遺された場合は支給されないケースが多いです」(風呂内氏)
そこで、夫婦問わず配偶者を亡くした人が貰えるお金をすべて貰うことが重要になる。
「自治体への葬祭費の申請をはじめ、亡くなるまでにかかった医療費の上限額を払い戻す高額療養費の払い戻し申請や高額介護サービスの払い戻し申請など、遺族が貰えるお金を忘れないようにしましょう」(同前)
そのうえで働いて収入を得る選択肢もある。
「私の父は定年後に介護事業所の送迎ドライバーになりました。もともと運転が好きで趣味と実益を兼ねたわけですが、それだけではありません。何かあった場合、同僚に『今日は連絡がないな』と気づいてもらえるので生存確認にもなり一石二鳥です」(同前)
ただし、「余計な肩書きが邪魔をしてしまう人が多い」と風呂内氏。
「“どこそこの部長をやっていたんだ”といったプライドを持たずに新しい仕事を楽しめるといい。現役を引退したなら無理に頑張る必要はなく、今まで知らなかった業種を見てみるくらいに気軽なほうが続きます」
人手不足の現在、内容を選ばなければ仕事自体は見つかりやすい。
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※週刊ポスト2025年8月8日号