中古住宅販売が好調のなか注目すべき企業は?(写真:イメージマート)
昨今は住宅の新築価格が高騰している。この背景には、地価や建築資材の価格上昇、職人不足などによる人件費上昇が挙げられる。その中で、手が出しやすい価格の中古住宅にも追い風が吹いている状況だ。今回は、中古住宅業界で好決算を出している企業をピックアップし、個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
新築物件価格の高騰で中古住宅やリノベ物件に注目
日本の住宅流通市場では新築住宅が圧倒的に主流であり、国土交通省のデータによると、住宅取引全体の約8割が新築住宅となっている。これに対し、アメリカやイギリス、欧米主要国では住宅取引の8割以上が中古住宅であり、新築は少数派である。都市部では新築供給に限界があり、既存住宅を活かし、「中古を買ってリフォームする」スタイルが合理的な選択とされている。このように日本の住宅流通市場はアメリカやイギリスなど欧米主要国とは真逆の状況だ。しかし、日本でもこれまで根強かった“新築信仰”が揺らぎ始めている。
完成済みのリノベ住宅は、すぐに入居可能でありながら、内装や設備は新築同様に刷新されている。特にプロが設計・施工した物件では、構造補修や配管更新といった目に見えない部分にまで手が加えられ、安心感と合理性を兼ね備えた選択肢として注目を集めている。
昨今は新築物件価格が高騰している。その背景には、地価の上昇に加え、建築資材の価格上昇や職人不足などによる人件費上昇が挙げられる。特に、国交省公表の建設工事費デフレーターでは、住宅建設費が2023年7月~2024年6月の1年間で約4.4%上昇し、2024年4月~2024年6月に限って見ると、年率10%超の上昇率を記録している。
また、住宅着工戸数が1996年の約164万戸から79万戸へと半減し、供給減とコスト高のダブルパンチにより、供給力そのものが低下していることも価格高騰の原因となっている。
こうした事情により新築住宅から、中古住宅やリノベ物件への注目が高まっている。築20~30年の中古マンション価格は新築よりも30~40%安く、リノベで内装や設備を刷新すれば、新築並みの住環境を手に入れることができる。
また、LIFULLの調査によれば、「中古住宅を選んだ理由」の中で最も多かったのは「立地条件の良さ」であり、全体の45.0%を占めている。「立地・価格・品質・安心感」のメリットを享受できることが中古住宅への注目が高まっている理由である。
そこで、追い風を受け始めている日本の中古住宅市場において今後も注目していきたい代表的な企業をピックアップしてみよう。