成長株テリー氏は80兆円規模の対米投資をポジティブに捉えているという(トランプ大統領/Getty Images)
日米の相互関税が15%に引き下げられ、日本からアメリカへの80兆円規模の投資も決まった。ただ、日米合意の内容をめぐっては不鮮明な部分も多く、日本経済、また日本の株式市場にとって長い目で見てプラスなのか、マイナスなのかは、専門家の間でも意見が分かれている。投資で大きな資産を築いた“億り人”はどう評価し、いかなる投資戦略で望んでいるのだろうか。
成長株投資で得た収益を不動産投資に回すというスタイルで約6億円の資産の築いたニュージーランド在住の個人投資家・成長株テリー氏は、「80兆円の対米投資は日本市場にプラスに作用する」と見解を述べる。
日本政府の説明によれば、今回の合意に盛り込まれた対米投資は、国際協力銀行をはじめとする日本の政府系金融機関が約80兆円を上限に出資、融資、融資保証をして、日本の民間企業に投資を促すというものだ。投資の対象分野としては自動車や造船、エネルギー、半導体、重要鉱物、医薬品、鉄鋼など9分野が挙がっている。
「対米投資の内容についてはまだはっきりしない部分も多いですが、やはり80兆円という数字が市場に与えるインパクトは大きいと思う。実際に投資が始まるタイミングや期間がポイントですが、おそらくトランプ大統領の任期中、あと3年半ほどの間で実施されるのではないでしょうか。
政府はこれまで緊縮財政の方針をとってきましたけど、それだけの巨額投資をするには財政支出を増やすことになるでしょうし、これから増税などのマイナス要因が生じなければ、日経平均株価を1万円ほど引き上げる効果もあるのではないか。私の想定では、来年3月までには日経平均は5万円を超えてくると思います。
日経平均より幅広い銘柄で構成するTOPIX(東証株価指数)も、日米交渉の合意を受けて史上最高値を更新したので、年内に3000ポイントに到達する可能性もあると見ています」(成長株テリー氏、以下同)