山口寿一・読売新聞グループ本社社長の影響力が強まるとの指摘も(時事通信フォト)
読売新聞が立て続けに誤報を出し社内でも処分者が出る事態となっている。取材力の低下も指摘されるなか、その背景には何があるのかレポートする。【前後編の後編】
政治部エースに二重の処分
大誤報では読売政治部も負けてはいない。参院選3日後の7月23日、読売は「石破首相 退陣へ」と号外を出したが、石破茂・首相は辞任を否定。
この誤報の背景にも“ナベツネ”こと渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆の不在があるだろう。読売政治部は長く渡邉氏が築いた有力政治家との人脈で時の政権に食い込み、憲法改正、消費増税など政権と足並みを合わせた論調を張ってきた。
「安倍(晋三)首相が改憲をめぐる考えを国会で問われ、“読売を熟読してください”と答弁したことまであった。権力に近すぎると批判もされたが、首相の進退をめぐる誤報などあり得なかった」(前出・読売関係者)
政治部も自民党両院議員総会で石破首相が追い詰められたタイミングで「石破退陣」誤報の検証記事(9月3日付)を出した。記事では政治部出身の前木理一郎・読売新聞東京本社専務取締役編集担当が「本紙は、石破首相の『辞める』との発言を常に正確に把握していました。しかし、石破首相は辞任せずに、結果として誤報となりました」とコメントしている。