都営大江戸線「人口増予測ランキング」5位の牛込神楽坂駅
全長は40km超に及ぶ都営大江戸線は、新宿・六本木・大門・両国といった都心の主要エリアを結び、沿線の駅は「住みたい街ランキング」にもたびたび登場する。ただ、個別の駅の将来人口を見通すデータを見ていくと、同じ区内に立地しても人気は明暗が分かれるようだ。
国税庁が発表した「2025年(令和7年)分の路線価」によれば、東京都の標準宅地の平均変動率は前年比8.1%増と全国平均を大きく上回る。一方で、少子高齢化の波は東京にも押し寄せ、遠からず人口がピークアウトするとも指摘される。つまり、都内に位置する同一沿線の駅であっても、将来の明暗が分かれると考えられるのだ。
不動産コンサルタント会社リーウェイズは、国土技術政策総合研究所が2024年に公表した『将来人口・世帯予測ツール』をもとに、2025年と2035年の人口を比較。5億件の物件データを扱うAI分析を用いて、不動産価格と直結する駅ごとの人口増減を算出し、東京都のベスト200とワースト200を抽出している。そこから都営大江戸線の駅に絞って分析すると、38駅のうち都内ベスト200にランクインしたのは16駅、同ワースト200に入ったのは9駅となった。
高台住宅地が“穴場”に
「人口増減はその地域の不動産価格に直結する重要な要素になる」と指摘するのは、不動産市場の動向に詳しい株式会社さくら事務所取締役副社長COOの山本直彌氏だ。
山本氏は、人口増予測ランキングの上位に、沿線3位の牛込柳町(都内全体で11位)、沿線5位の牛込神楽坂(同31位)、沿線9位の若松河田(同61位)といった新宿区内の駅が顔を出していることに注目する。これらはいずれも高台に立地し、閑静な住宅地として知られるエリアだ。山本氏が解説する。