中国は4月の米中首脳会談に向け一丸となって対策を進めているという(習近平・国家主席/Getty Images)
緊迫化する日中関係。台湾有事を危惧する声も聞こえてくるなか、今年は“超一強”体制を築く習近平・中国国家主席をめぐるさらに重大なリスクがあるという──社会学者の橋爪大三郎氏とキヤノングローバル戦略研究所上席研究員兼中国センター長の峯村健司氏がその衝撃シナリオを詳らかにする。【全3回の第1回】
中国が策を講じるトランプ訪中での“お土産”
橋爪:高市早苗・首相の「存立危機事態」答弁以降、中国側は非難や“制裁”を繰り返しています。ただ「存立危機事態」で日本がどう行動するかは歴代内閣で継承されてきたことで、中国側がこれを知らないはずはありません。高市発言に驚いたのではなく、この見解で日本の世論が固まるのをなんとか突き崩したいと中国側は狙っているのではないでしょうか。
峯村:首相に発言撤回を繰り返し求める声が日本国内にありますが、世論を分断したい中国の思う壺だと感じます。橋爪先生がご指摘の通り、中国の軍や高官らは日本の「存立危機事態」について熟知している。そのうえであえて「怒ってみせる」ことで、日本に圧力をかけているのです。
米国のインテリジェンス当局者や軍関係者が「2027年までに起こる」とする台湾有事を見た動きであり、今年(2026年)に前倒しされた可能性が出てきました。
橋爪:習近平の最終目標は台湾の統一。それも「平和的」でなくていい。
峯村:ただその作戦は人民解放軍による「上陸作戦」ではなく、無傷で台湾を取る「新型統一戦争」にシフトしています。習近平政権は、軍幹部らの粛清を進める一方で、台湾内部の世論工作などを行なう国家安全部を増強しているのがその証左といえます。
橋爪:軍事力に頼らず政治的に統一しようとしても、過去に成功した例はほとんど聞きません。
峯村:1つ例を挙げるなら2014年のクリミア併合です。プーチンは親ロシア派民兵組織(ミリシア)を動かし達成しましたが、これが中国にとっての教科書になっています。
