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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

【膝痛治療の最前線】「人工関節」は「人生100年時代」で再手術のリスクも 関節鏡による「注いで固める」軟骨再生治療への期待【専門医が解説】

多くの人が悩まされる膝痛治療の最前線と今後の課題とは(イメージ)

多くの人が悩まされる膝痛治療の最前線と今後の課題とは(イメージ)

 階段の上り下りやふとした動作で走る膝の痛みに悩まされるビジネスパーソンも少なくないが、その原因の多くは軟骨の損傷にある。海藻由来の成分を活用した再生医療の研究が進むなか、次なるステージでは「関節の温存」と「損傷の予防」が課題となる──。シリーズ「医心伝身プラス 名医からのアドバイス」、軟骨損傷に対する組織再生治療を長年研究してきた北海道大学病院整形外科・岩崎倫政教授が解説する。【膝痛治療の最前線・後編】

軟骨修復材「モチジェル」を使った手術の流れ

 膝軟骨再生の治療法としては、従来は「細胞移植」が行なわれてきました。しかし、これには身体への大きな負担や、移植する細胞数にバラつきが出るという課題がありました。私は長年、細胞そのものを移植するのではなく、海藻由来の成分「アルギン酸」を細胞再生の「足場(土台)」として活用する研究を続けてきました。使用するのは、アルギン酸から発熱や炎症の原因となる物質(エンドトキシン)を除去した「低エンドトキシン化高純度アルギン酸」です。これを注入した後に塩化カルシウム溶液で表面を固める(ゲル化させる)手法により、関節鏡を用いた低侵襲な移植が可能となりました。この技術を応用した軟骨修復材「モチジェル」は、骨髄から自らの細胞を呼び込み、軟骨を再生させます。2025年12月からは、保険適用での臨床利用も開始されました。

 治療は原則として、関節鏡が入る程度の小さな切開からアプローチしますが、損傷の範囲によっては切開を広げる場合もあります。基本的には、患部を関節鏡が入る程度に切開し、軟骨の欠損部周囲にある変性した組織を取り除きます。次に、「モチジェル」を欠損部が周囲の軟骨と同じ高さになるまで注入します。さらに、塩化カルシウム溶液をゆっくりと添加し、約5分間置いて表面をゲル化させます。表面が固まったことを確認後、溶液を洗い流して切開部を閉じます。

 表面は硬まっていても内部は粘性を保っているため、骨髄から細胞がこの「足場」へとスムーズに侵入します。細胞が交流・増殖することで本来の軟骨が再生されるのです。術後のMRI画像による観察では、平均3~6か月で正常に近い軟骨への再生が確認されており、修復が進むにつれて痛みなどの症状も軽減していくと考えられます。

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