群雄割拠の動画配信サービスの中でU-NEXTが成長を続けている理由とは(宇野康秀社長CEO)
NetflixがWBCを独占配信し、定額制動画配信(動画サブスク)市場がますます活況を呈すなか、日本発の動画配信サービスとして存在感を見せるのがUSEN&U-NEXTグループのU-NEXTが提供する「U-NEXT」だ。Netflixを猛追できる背景には、幾度もの経営危機を乗り越えたU-NEXT HOLDINGS・宇野康秀社長CEO(62)の「執念の戦略」があった。ジャーナリストの大西康之氏がインタビューした。【全3回の第1回】
3社を上場させた「不屈の経営者」
2022年にAmazonプライムビデオを抜き、国内の有料動画市場でNetflixに次ぐ2位となったU-NEXT。2025年11月にはついに有料会員数が500万人を超えるなど絶好調だ。
しかし、U-NEXTホールディングスの宇野康秀社長CEOのこれまでの経営者人生は決して平坦ではなかった。
1989年、入社1年でリクルートコスモスを退職し人材サービスのインテリジェンス(現パーソルキャリア)を立ち上げるも、1998年、父親の遺志で大阪有線放送(後のUSEN)の再建を託される。立て直した同社で動画配信サービスの草分け「GyaO(ギャオ)」を始めたが、リーマンショックで資金繰りに窮して2010年にUSEN社長を退く。同年にUSENから分離して新会社として独立させたU-NEXTで動画配信を続け2014年に同社を上場に導き、その後、U-NEXTとUSENは2017年に経営統合した。
何度も窮地に陥りながら、インテリジェンス、USEN、U-NEXTの3社を上場させた「不屈の経営者」が、動画配信の巨人、Netflixと戦う秘策を語った。
――群雄割拠の動画配信サービスの中でU-NEXTが成長を続けている理由を教えてください。
「まず誰よりも早く始めたことでしょうね。光ファイバーの登場で通信速度が上がり、そろそろ『動画の配信ができるんじゃないか』と、実験的にサービスを始めたのは2001年頃。Netflixが動画配信を始めるよりずっと前です。
その頃、課金サービスはハードルが高く、(テレビ局や映画会社などの)コンテンツホルダーさんも、自分たちのコンテンツをネットで流すことに抵抗がありました。
そこで苦肉の策として始めたのが無料の動画配信サービス『GyaO』です。広告で収益を得ながら、とにかく『ネットで動画を観る』というユーザー体験を増やしていく狙いでした。
同時に『ドラマや映画をネットで流したら、すぐに海賊版が出回るだろう』と心配していたコンテンツホルダーさんに対し、『ウチのセキュリティーはちゃんとしているから大丈夫です』と安心してもらう。そういう地道な努力を続けてきました」
