U-NEXTが推し進める「百貨店戦略」とは
定額制動画配信(動画サブスク)市場がますます活況を呈すなか、日本発の動画配信サービスとしてUSEN&U-NEXTグループのU-NEXTが提供する「U-NEXT」が、見逃せない存在感を見せている。U-NEXT HOLDINGS・宇野康秀社長CEO(62)は、父親の遺志で大阪有線放送(後のUSEN)の再建を託され、動画配信サービスの草分け「GyaO(ギャオ)」を始めるが、リーマンショックで資金繰りに窮するなど、幾度もの経営危機に遭いながら乗り越えてきた。
ジャーナリストの大西康之氏によるインタビュー第1回では、コンテンツホルダーの説得に苦戦するなか、ワーナーと一定数のメジャー・タイトルを固まりで契約した2007年頃までの道のりを紹介した。第2回では、動画に課金してもらうハードルをどう乗り越えたか、Netflixとの差別化戦略などを聞いた。【全3回の第2回】
自分の中でも「大きな発明だったな」
――2007年というと、ちょうどアップルの「iPhone」が登場した年です。それまでネット動画の視聴はパソコンが中心でしたが、U-NEXTがスマホに軸足を移したのはいつ頃ですか。
「『スマホで映画を観る人が出てくるはずだ』という確信はありましたが、完全にスマホに切り替えようと思ったことはありません。むしろ我々は『ネットに繋いだテレビで観てください』というプロモーションに力を入れました。
それに対応してくれたのがテレビメーカーさんです。ソニーが最初にテレビの画面の中からU-NEXTのサービスに飛べるようにしてくれました。その後Amazonの『Fire TV Stick』みたいにネットとテレビを簡単に繋ぐデバイスも出てきて、今ではリモコンにあるU-NEXTのボタンを押せば、一発で接続できるようになりました」
――無料で民放のテレビを観ることに慣れている日本人に「お金を払って動画を観てもらう」のは、なかなかハードルが高かったのではないでしょうか。
「『動画に課金をする』というのは、それこそ映画館の時代からあって、レンタルビデオを借りるにも、その都度課金があるわけですし、ケーブルテレビや衛星放送の課金サービスもあったわけです。さらにアメリカを見れば(CNNやMTVなど)『ペイ・チャンネル』なるものの市場は間違いなくあるわけで。
むしろ『SVOD(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド=定額制で、観たいときに観たい映画やドラマやアニメを視聴できるサービス)』を理解してもらうのに苦労しました。『(衛星放送の)スカパー!やWOWOWと何が違うんだ』と。
『自分でボタンを押すとその瞬間からビデオが始まるんですよ』と説明しても、体験してもらわないとなかなか価値が伝わらない。そこで思いついたのが『31日間無料トライアル』。これが当たりました。
いきなり課金するのは難しいから、まずは無料で試してもらって、『この料金でこれだけのコンテンツを観られるんだったら安いね』と実感してもらう。このキャンペーンは今もやり続けていますが、自分の中でも『大きな発明だったな』と考えています」
