*14:11JST Mantleが描く「オンチェーン金融」の次章―AI・RWA・機関投資家の交差点へ
以下は、フィスコ・マーケットレポーターのソイキナタマラ(X @web3tama / 以下、タ)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
―――
※2026年6月2日執筆
今回は、MantleのKey Advisorであり、Byreal FounderでもあるEmily Bao氏(以下、エ)に話を伺いました。近年、Web3市場ではAI、RWA(現実資産のトークン化)、機関投資家の参入が大きなテーマとなっています。その中でMantleは、単なるL2チェーンではなく、TradFi(伝統金融)とオンチェーン流動性を接続するディストリビューションレイヤーとして存在感を強めています。
Mantleエコシステムは現在、40億ドル超のコミュニティ資産を抱え、mETH、fBTC、Ethena USDe、Ondo USDYなど複数の大型プロジェクトとも連携。さらにBybitとの強力な接続を背景に、CeFiとDeFiを横断する新たな金融インフラ構築を進めています。
また最近では、AIエージェントによるオンチェーン実行をテーマとしたグローバルハッカソン「The Turing Test Hackathon on Mantle」も開始しており、AIとブロックチェーンの融合にも本格的に乗り出しています。
今回はEmily氏に、Mantleのビジョン、機関投資家マネーの流入、そしてAI時代のオンチェーン金融について聞きました。
タ: 「まずEmilyさんご自身について伺わせてください。Mantle、Byrealその他のプロジェクト、CeFiとDeFi双方に関わる立場ですが、現在ご自身の役割をどのように捉えていますか?」
エ: 「私は、CeFiとDeFiの橋渡し役だと考えています。中央集権型取引所にはユーザー、流動性、巨大な分配力があります。一方でDeFiには透明性やプログラマビリティがあります。これまで両者は並行して存在していましたが、本当の意味で統合はされていませんでした。
実際、数年前にある大手資産運用会社と話した際、「オンチェーン利回りには興味があるが、カストディやコンプライアンスが障壁になっている」と言われたことがあります。その時に感じたのは、問題は技術不足ではなく、「接続」の不足だということでした。
現在のMantleは、資産、流動性、インフラ、分配力を一つのシステムとして繋ぐことを目指しています。私はそれが次世代Web3エコシステムの重要な条件になると考えています。」
タ: 「Mantleは現在、40億ドル超のコミュニティ資産を抱えています。Mantle最大の強みはどこにあるのでしょうか?」
エ: 「Mantle最大の特徴は、「分配」まで含めた金融インフラを持っている点です。
多くのチェーンは技術やスケーラビリティを重視していますが、機関投資家にとって本当に重要なのは、資産が実際に流動性とユーザーへリーチできることです。Mantleはトークン化資産を単に発行するだけでなく、Bybitを通じて実際の市場流動性へ接続できる点は大きな違いです。例えば、QCDTのようなトークン化MMFは、Bybit上で機関投資家向け担保としても利用されています。これは単なる実験ではなく、“実運用”が始まっている事例です。」
タ: 「最近ではAIにもかなり注力されています。なぜ今、MantleはAIエージェント領域に注目しているのでしょうか?」
エ: 「AIは今後、オンチェーン活動の主要プレイヤーになると考えています。AIエージェントは、単なるチャットボットではなく、将来的には資産運用、流動性供給、取引実行などを自律的に行う存在になります。その際に必要なのが、透明性の高い決済レイヤーとリアルタイム流動性です。ブロックチェーンは、AIにとって非常に相性の良い環境です。すべてがプログラム可能で、透明で、検証可能だからです。特にMantleは、Ethereumセキュリティ、ZKインフラ、RWA流動性などを組み合わせることで、AIネイティブ金融を支える基盤になれると考えています。」
タ: 「その流れの中で、現在「The Turing Test Hackathon on Mantle」も開催されていますよね。これは一般的なAIハッカソンとどう違うのですか?」
エ: 「最大の違いは、実際にオンチェーンで動くことです。多くのAIハッカソンでは、アイデアやモックアップが中心です。しかしMantleのハッカソンでは、AIエージェントが実際にオンチェーン上で動作し、戦略を実行し、その結果が記録されます。私たちは『AIが賢そうに見えるか』ではなく、『本当に実行できるか』を重視しています。
今回のハッカソンでは、AI Trading、RWA、Agentic Walletなど6分野を対象に、10万ドル規模の賞金を用意しています。単なるデモではなく、次世代オンチェーン金融の実験場にしたいと考えています。このハッカソンの特徴は賞金だけではありません。参加者はBybit、Mantle、Miranaをはじめとする業界有力プレイヤーやVC、エコシステムパートナーから、インフラ、流動性、メンタリング、ネットワーク、そして将来的な事業展開に関する支援を受けることができます。多くの開発者にとって、こうした環境へ直接アクセスできる機会は決して多くありません。
特に期待しているのは、『ポリマス・ビルダー(Polymath Builder)』と呼べる人材です。インフラだけ、AIだけ、プロダクトだけではなく、流動性、ユーザー体験、AI、金融、流通までを一つのシステムとして考えられる人たちです。AI時代において最も大きな価値を生み出すのは、個別の専門知識ではなく、それらを統合して実際のプロダクトとして形にできる能力だと考えています。私たちは、このハッカソンを通じて次世代のオンチェーンプロダクトを生み出すビルダーと出会いたいと思っています。」
タ: 「最後に、日本の開発者やMantle Japanコミュニティへメッセージをお願いします。」
エ: 「日本は、短期的な流行よりも、長期的なインフラ価値を重視する非常にユニークな市場だと思っています。今後、AI、RWA、DeFi、機関投資家向けインフラは徐々に融合していきます。その中で日本の開発者やビルダーが果たせる役割は非常に大きいと思います。特に注目しているのは、日本が今まさにWeb3普及の重要な転換点に入っていることです。ステーブルコイン、トークン化資産、デジタルアセットに関する規制整備が着実に進み、金融機関や大手企業も以前より積極的に参入を始めています。
日本は世界的に見ても早い段階からステーブルコインやデジタル資産に関する制度設計を進めてきた国の一つです。こうした制度基盤は、今後の大規模な普及を支える重要な土台になると考えています。また現在、アジア全体でもAI、ステーブルコイン、RWA、オンチェーン金融インフラへの関心が急速に高まっています。その中で日本は、技術力だけでなく信頼性や制度面でも重要な役割を担う市場になると見ています。そして何より、AIによって個人開発者でも以前よりはるかに大きなものを作れる時代になりました。もしアイデアがあるなら、間違いなく今が作り始めるべきタイミングです。市場が完成してから参入するのではなく、市場が形作られる段階で挑戦することに大きな価値があります。Mantleとしても、日本から新しいビルダーや起業家、そして次世代のオンチェーン金融を形作るプロジェクトが生まれることを非常に楽しみにしています。」
以上
<FA>