良い葬儀社を選ぶのはなかなか難しい(イメージ)
厚生労働省が2月26日に公表した2025年「人口動態統計」によれば、2025年に亡くなった人の数は160万5654人。前年の 157 万 6016 人から 2 万 9282 人増加した。多死社会といわれるなか、いざ葬儀社選びをするとなると、途方に暮れる人は多い。なぜ葬儀社選びは難しいのか、葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏がその理由と対処方法を解説する。【前後編の前編】
葬儀屋さんが絞りきれない
東京都杉並区に住む男性・高橋さん(56歳/メーカー勤務・仮名)のケース。母親は元気ですが、父親はここ数年入退院を繰り返しています。同僚からはいざ親が亡くなった時の“厄介さ”を聞くにつけ、そろそろ自分も親の葬式の準備をしなければと焦り始めています。高橋さんとしては、安さを追求するよりも、満足度の高い葬儀が行える葬儀社に頼みたいと思っていました。
ある日コンビニで買った雑誌で、終活をテーマにした特集記事を目にします。その記事ではいざという時にあわてないように、葬儀社を事前に決めておくことが勧められていました。
「良い葬儀社」を選ぶポイントとして挙げられていたのは、以下の4点です。
【1】近所にある
【2】評判が良い
【3】長年営業を続けている
【4】印象が良い
高橋さんは早速、葬儀社選びを実行に移します。まず杉並区内で近所にある葬儀社を、ネットで調べてみました。その数約20社。とても絞り切れません。これがクリーニング店なら事前に一度ずつ試して、選んだお店を今後利用すればいいのですが、お葬式は本番一度きり。お試しは不可能です。
「評判の良い葬儀社」と言われても、ネット上での評判は個人的主観によるうえ、自作自演や誹謗中傷である可能性をぬぐえないため、信頼性に欠けます。近所の評判を調べようにも、日頃ご近所づきあいはほとんどなく、あったとしても「あの葬儀社、評判いいらしいよ」という立ち入った話をするとは思えません。同僚とは地元が違うので、経験談も活かせません。
とりあえず長年営業を続けているということで、創業50年以上の葬儀社を5社ほど選んで訪問してみました。どの葬儀社も清潔感のあるスタッフがそつのない対応をしてくれましたが、これといった決め手には欠けました。1社だけがちゃんとしてくれていたなら、そこに決められたのですが……。
