*11:43JST セレンディップ Research Memo(3):2026年3月期はM&A効果と既存事業の生産性向上により大幅増収増益
■セレンディップ・ホールディングス<7318>の業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高が51,163百万円(前期比103.6%増)、営業利益が2,189百万円(同198.1%増)、経常利益が2,418百万円(同229.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,147百万円(同98.6%増)となった。売上高は、「セレンディップ・チャレンジ500」の目標値を1期前倒しで達成した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、M&Aによる負ののれん発生益を毎期計上しているため、営業・経常利益を上回るイレギュラーな数値が続いている。
同社はモノづくり子会社の経営近代化を実現するため、経営執行にコミットしたプロ経営者をチームで派遣して現場・財務・経営の見える化を徹底し、バックオフィスの生産性向上や製造現場で幅広いIT活用に取り組んでムダ・ムリ・ムラを排除するなど、既存子会社の収益力強化と2025年3月期に子会社化した4社のPMIを進めた。また、新たにグループ化したサーテックカリヤの業績を第3四半期より連結業績に取り込んだ。この結果、既存事業が1ケタ後半のオーガニック成長となったうえ、M&Aした子会社の通期寄与及びサーテックカリヤの下期分の業績が加わり、売上高は大幅な増加となった。営業利益は、M&A関連費用を計上したものの、増収や生産性向上によりこれを吸収し、実力値ベースでは利益率が3.8%から4.9%へ改善するなど収益力が大きく向上した。
セグメント別の業績は、通期予想を大幅に上回る着地となったモノづくり事業が成長をけん引した。
モノづくり事業は、売上高が49,052百万円(前期比109.4%増)、セグメント利益が2,093百万円(同198.3%増)となった。オートモーティブサプライヤーでは、米国の通商政策の影響は残るものの米国向け自動車輸出に持ち直しの動きが見られるなど、自動車の国内生産が引き続き高水準で推移した。また、M&Aを通じて新たな自動車メーカーとの取引が始まったこと、三井屋工業の東北工場でスマートファクトリー化が進展したこと、新たにグループ化したサーテックカリヤの下期分業績を取り込んだことなどにより、サーテックカリヤの株式取得関連費用約3億円を計上しながらも大幅な増収増益となった。なお、三井屋工業では中期的な事業拡大を睨み、自動車部品ニーズの強いインドのNTF社と合弁会社を設立した。
一方、天竜精機では、主要顧客の設備投資が大幅に回復するには至らなかったため受注確定に遅れが生じたが、新規顧客への提案営業を強化したことにより、一部回復の兆しが見えてきた。アペックスは、グループ間シナジーにより販路の拡大が進み、系列を超えた自動車会社向けキャラバンの展開を開始した。レディーバードは、倒産・再編が相次ぐ大手サロンから個人サロンへとターゲットをシフトしている途上であり、マーケティング・営業活動を強化した。
プロフェッショナル・ソリューション事業は、売上高が2,772百万円(前期比28.7%増)、セグメント利益が124百万円(同747.8%増)となった。基幹システムの再構築需要を背景にITコンサルティングが伸長し、RXも受注が順調に推移した。特にセレンディップ・テクノロジーズ(株)(現 アクストリア)で難易度の高い大型受注があり、採用増加を吸収して収益が改善した。また、セレンディップ・ロボクロスでも受注が急拡大した。自動化は企業の喫緊の課題であるものの市場としては未整備なため、レンタルと販売だけでなく、コンサルティングやカスタマイズ、天竜精機による前工程・後工程の対応など、すでに事業化できている同社の強みが発揮された形となった。
インベストメント事業は、売上高が146百万円(前期比23.7%減)、セグメント損失が28百万円(前期は23百万円の利益)となった。「日本ものづくり事業承継基金1号投資事業有限責任組合」からの管理報酬が着実に発生したが、FAアドバイザリーの収益が2027年3月期に期ズレした。
2027年3月期も大幅増収増益を予想。新たなM&Aによる上振れ余地も
2. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の業績予想について同社は、売上高64,000百万円(前期比25.1%増)、営業利益3,500百万円(同59.8%増)、経常利益3,300百万円(同36.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円(同40.7%減)を見込んでいる。親会社株主に帰属する当期純利益が減益予想になったのは、前期に計上したサーテックカリヤのM&Aによる負ののれん発生益の反動によるものである。一方、2026年7月に子会社化した日建産業を同年10月より連結する予定であるため、売上高で半期分の約50億円、営業利益でM&A費用2億円強を除いた約1億円が上振れ要素となっている。加えて、自動車産業に隣接する建設機械分野への進出が実現しており、新領域拡張の観点からも重要な投資案件と位置付けられる。
グループ化した企業の収益力向上に加え、スケールメリットやシナジーの創出を通じて、オーガニック成長とM&Aによる非連続な成長を同時に実現している。モノづくり事業のオートモーティブサプライヤーにおいて、国内の自動車生産は順調と想定しており、電気自動車関連の部品開発を継続するほか、サーテックカリヤの業績が通期寄与する。プロフェッショナル・ソリューション事業では、DXニーズが強いアクストリアと、サービスラインナップを拡充したセレンディップ・ロボクロスが、ともに引き続き好調な受注を見込んでいる。加えて、経営改革の進展により、全体的な採算も改善する見込みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>